書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ウィリアム・シェイクスピア『トロイラスとクレシダ』

う〜む、なんなんだろうね、これは。奇作? はたまた駄作?トロイラスとクレシダ (白水Uブックス (24))作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志出版社/メーカー: 白水社発売日: 1983/10/01メディア: 新書 クリック: 5回この商品を含むブログ (5件) を見…

5月の月間ベスト

チャパーエフと空虚作者: ヴィクトルペレーヴィン,三浦岳出版社/メーカー: 群像社発売日: 2007/04メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 34回この商品を含むブログ (28件) を見る

さて、次はシェイクスピア『トロイラスとクレシダ』。ドイツ戯曲のブラッシュ『女たち。戦争。悦楽の劇』を読むつもりだったけど、この『悦楽の劇』は『トロイラス』を下敷きにしているらしいから、先に『トロイラス』を読んでおこうということで。 『波』は…

秋田禎信『閉鎖のシステム』

黒さんが「ライトノベルの奇書」と呼んでいた理由が分かった。結末と挿絵はたしかに奇々怪々。『魔術師オーフェン』や『エンジェルハウリング』も読んでみようかしらん。閉鎖のシステム (富士見ミステリー文庫)作者: 秋田禎信,黒星紅白出版社/メーカー: 富士…

エムシュウィラー『すべての終わりの始まり』購入。寝る前に一篇か二篇ずつ読むとちょうど良さそうだ。

杉井光『火目の巫女 2』

一巻に比べるとダークさというか救いのなさが半減しているのが残念。そう感じるのは、僕の心がすさんでいるからなのかね。あ、端役だけど、為子は良い味出してる。三巻もそのうち読むよ。火目の巫女〈巻ノ2〉 (電撃文庫)作者: 杉井光,かわぎしけいたろう出版…

アナトール・フランス『ペンギンの島』

アナトール・フランスはいいよ〜すごいよ〜みんな彼のことを軽んじすぎだよ〜。 まあね、近現代フランス文学史を見るとき、どうしてもダダとかシュルレアリスムとかヌーボーロマンとかの派手なところに目が行っちゃうのは仕方ないんだけどさ。でも「現代に相…

ジョージ・R・R・マーティン『王狼たちの戦旗 3』

中盤、大物中の大物たるあの人物が唐突に不条理に落命するという、予想外の展開が待ち受けていた。第二部スタート以来作品中に漂っていた不穏の空気が、ここへ来て一気に色濃くなった。第二部の結末にはいかなる破局が待ち受けているのか……次巻が楽しみ楽し…

中村九郎『樹海人魚』

根っこのところがライトノベルそのものという感じがするので、奇才とまで呼ぶにはちょっと。でもまあ、細かいところで、いいセンスしてるなあと感じさせるものはある。『樹海人魚』というタイトルもなかなか良いしね。次作も出たら買ってみるつもり。樹海人…

マーティン『王狼たちの戦旗(3)』、ワイルダー『わが町』、中村九郎『樹海人魚』を購入。 ハヤカワ演劇文庫、現代戯曲を文庫サイズで提供してくれるのはありがたいんだが、しかしこのページ数でこの値段はやはり高いよなあ。ハヤカワはほかにイシグロ『充…

パムクのインタビュー

○オルハン・パムクのノーベル賞受賞講演とインタビュー、佐藤亜紀との対談を収録した『父のトランク』という本が藤原書店から出ていたので、とりあえずインタビューだけぱらぱらと立ち読みしてみた。影響を受けた作家にドストエフスキー、トルストイ、マン、…

ファルク・リヒター『エレクトロニック・シティ』

ドイツ現代劇・二冊目。 リヒターはまだ30代か。リヒターに限らず、論創社のドイツ現代戯曲選には、戦前生まれのベテラン劇作家の作品だけでなく、60年代生まれの若手(?)のものも多く収録されている。中には70年代生まれの作家も。これはいいことだ…

冲方丁『オイレンシュピーゲル 壱』

姉妹篇『スプライトシュピーゲル』に比べると、いくらか普通に近い文体で書かれている。この巻はキャラの顔見せ段階だから、まだ評価はしかねるかな。『オイレン』『スプライト』双方の続刊がどういう展開・関連を見せるか、期待したいところ。オイレンシュ…

杉井光『火目の巫女』

前半は百合萌えお気楽な雰囲気(や、主人公のコンプレックスやら葛藤やらはあるんだが)だったのが終盤一転、容赦ない展開で読ませる読ませる。で、あの残酷な結末。――うむ、これはいいぞ。『お留守バンシー』とかのまったりしたのも悪くないんだが、やっぱ…

オノレ・ド・バルザック『アネットと罪人』

これもまだまだ若書きな感じがするの〜。才能のひらめきは見せているけれども、やはり『ゴリオ』『ベット』などには及んでおらんわい。しかし、水声社のバルザック幻想・怪奇小説選集の続刊『ユルシュール・ミルエ』は「人間喜劇」シリーズの作品だから、巨…

ヴィクトル・ペレーヴィン『チャパーエフと空虚』

この小説の感想をまとめるのは難しかった。一言で言うと東洋趣味の現代版ブルガーコフ……とでも? ロシア幻想文学の正統な流れを汲みつつ、現代作家でなければ書けない内容になっているので、『巨匠とマルガリータ』なんかが好きな人は必読だろう。チャパーエ…

シマウマ書房にてジャン・パウル『陽気なヴッツ先生』、『新集 世界の文学23』を購入。『世界の文学23』はアナトール・フランス『ペンギンの島』を読むために買った(『ペンギンの島』の単行本は戦後になってからは刊行されていない)。

ドミートリー・フールマノフ『チャパーエフ』全2巻

うん、まあ、最初から期待はしてなかったけどね。『チャパーエフと空虚』を楽しむための準備だとしか思ってなかったし。しかし、これほど単調な作品とは思わなかった。こんなことなら、映画のほうを観ておけばよかったかなあ。――これで内容的にほとんど関係…

ムアコック『黒曜石の中の不死鳥』購入。

世界文学全集

今年の11月以降、河出書房から池澤夏樹の個人編集による世界文学全集が発刊されるらしい。そしてそのラインナップがこれ。キシュの『庭、灰』を入れたことだけでも絶賛に値する。ほかにも残雪やクッツェーなどの未訳作品が入るのも嬉しい。 19世紀以前の…

筒井康隆『巨船ベラス・レトラス』

巨船ベラス・レトラス作者: 筒井康隆出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/03メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 20回この商品を含むブログ (68件) を見る ではしかたがない、というように鮪はまた錣山を見つめた。「わしはずいぶん苦しんできた。その苦…

ろくごまるに『食前絶後!!』

調味魔導という設定の奇矯さはもとより、文章なんかも一般的な(というほど読んじゃいないが)ライトノベルとはちょっと違った雰囲気でおもしろい。こういうのがあるからこそ、ラノベ漁りをやる甲斐があるってもんだ。ともあれ、いくら古くても、こういう良…

名古屋の古書即売会に行ってエーヴェルス『魔法使いの弟子』を購入してきた。目録にオルランド『皇帝に捧げる乳歯』が挙がっていたので欲しかったのだが、私が行ったときにはもう売れてしまっていた。無念。やはり昨日のうちに行っておくべきだったか。

ブラウリオ・アレナス『パースの城』

古書店に注文したフールマノフ『チャパーエフ』がなかなか到着しないので、積読でも消化しておこう。というわけで、またまたゴシックホラーなこの本を読了した。といっても、ゴシックなのは道具立てだけで、中身としては奇想のほうがメイン。パースの城 (文…

張系国『星雲組曲』

老舎『猫城記』以来の中国SFの翻訳単行本である。となれば、SFファンなら当然買うべきだし、SFファンでなくとも、中国・台湾文学に興味があるなら手を出しておくべきだろう。いやもちろん、珍しいだけの本じゃない、ちゃんと中身もある。「新しい台湾…

尾関修一『麗しのシャーロットに捧ぐ』

『百歳の人』に続いてまたもゴシックホラー。書籍の形態から言えば硬軟両極端な感じではあるけど(実はイラストの枚数は『百歳の人』のほうが多い。まあ、どちらの絵師さんもいい仕事をしていることには違いはないけど)、『百歳の人』は「不死身の放浪者」…