書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

7月の月間ベスト

トラストDE―小説・ヨーロッパ撲滅史 (文学の迷宮)作者: イリヤエレンブルグ,小笠原豊樹,三木卓出版社/メーカー: 海苑社発売日: 1993/03メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 63回この商品を含むブログ (2件) を見る

山形石雄『戦う司書と雷の愚者』

プロットが上手いから面白く読ませてくれるんだが、前巻に比べていまひとつ新味に乏しい気がする。文章の平板な感じは、前巻に比べて多少改善されているかな。戦う司書と雷の愚者 BOOK2 (集英社スーパーダッシュ文庫)作者: 山形石雄,前嶋重機出版社/メーカー…

ジョージ・R・R・マーティン『王狼たちの戦旗 5』

『氷と炎の歌』第二部はこれにて完結となる。 クライマックスたるキングスランディング攻防戦の描写が壮絶。ラニスター家の優勢はこの一戦で確実になったようだが、第三部でスタンニスの巻き返しはあるのか、そして、ここしばらく伝聞が記されるのみで登場場…

マイクル・ムアコック『ブラス城年代記』全3巻

ムアコックはもうこれで4シリーズ・16冊目か。随分たくさん読んできたもんだ。 いわゆる「剣と魔法」のヒロイックファンタジーとはいえ、事物の描写や物語の運び方、世界観などには凡庸な「剣と魔法」ものとは一線を画しているものがある――というか、うん…

冲方丁『スプライトシュピーゲル 2』

期待通りのクオリティ。面白さの原因はやっぱり速さ&熱さ、かな。『オイレンシュピーゲル』2巻にひけを取らぬ燃え燃えな展開には手に汗握ることしきり。中でも一番熱いのはモリサンこと杜麟太郎だろう(カッコイイ老人を描ける作家は面白い作家である、と…

イアン・ワトスン『川の書』

「黒き流れ」三部作の第一部。当初は感想記事を上げるつもりだったけど、思い切り続編前提の作りになっている――というか、話がまるで終わっていないので、完結篇『存在の書』まで読んでからちゃんとした感想を書こう。これまでのところはワトスンらしからぬ…

イリヤ・エレンブルグ『トラストDE』

ロシア文学というと19世紀のもののイメージが強すぎて、20世紀の作家はいまいちマイナーだけれども、実際のところ、その多士済々ぶりは19世紀作家たちを凌いですらいる。ブルガーコフを筆頭に、ブローク、ソログープ、ザミャーチン、パステルナーク、…

イヴァン・ゴンチャロフ『オブローモフ』全3巻

何度でも言うけど、せっかく復刊したので、この機会をお見逃しなきよう。『オブローモフ』は唯一無二の傑作で、ドストエフスキー、トルストイ、ツルゲーネフらの作品と並べてもまったく遜色がないばかりか、むしろ優れている点も多々あり。『断崖』も復刊し…

噂に名高きエレンブルグ『トラストDE』げっと。出版元の海苑社ではすでに品切れになっているが、AmazonやBK1ではまだ注文できるらしいのでお早めに(古本もそこそこ出ているが)。それとレチフ『パリの夜』も購入。これは岩波の夏の一括復刊。 あとワト…

『オブローモフ』さくさくと中巻の半分くらいまで読み進む。あと『スロー・バード』がよかったので、積読していたワトスン『川の書』も読み始めてみた。

マイクル・ムアコック『永遠の戦士エレコーゼ』全2巻

『エレコーゼ』も面白いけど、最初は『エルリック』から入ったほうがいいと思う。黒曜石のなかの不死鳥―永遠の戦士エレコーゼ〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)作者: マイクルムアコック,Michael Moorcock,井辻朱美出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/05/01メディ…

8月の文庫発売一覧。 来月は筑摩だな。ロリス『薔薇物語』にカルヴィーノと来た。あと岩波のロペ・デ・ベガ『オルメードの騎士』にも注目(個人的には『オルメードの騎士』より『農場の番犬』を推したいのだが)。あとヴェルヌ『海底二万里』もまあ、買いか…

盧仝

唐の盧仝という人の漢詩を読んでみたら、これがすげーのなんの。こんなすげー詩人があまり紹介されてこなかったとは惜しいことだ。李白杜甫ばかりが漢詩じゃないぜ。 昨日を嘆ずるの詩三種 其の二(訳:俺)天下の凡夫どもは酒に溺れ、 この玉川先生も酒に溺…

マリウス・フォン・マイエンブルク『火の顔』

ドイツ現代劇・9冊目。 これもちょっと前に読りょ(以下略)。ここのところまったくもってダメだ。7月に入って無気力さが増してきていていけない。火の顔 (ドイツ現代戯曲選30)作者: マリウス・フォンマイエンブルク,Marius von Mayenburg,新野守広出版社/…

私があちこちでプッシュしている『オブローモフ』がしばらくぶりに復刊した。折角なので改めて推薦記事を書こうと思い、再読中。やっぱり傑作。あれだ、この小説をはじめて読んだ高校生の時に比べると、この小説が「なぜ」傑作なのかがよく分かる。私、これ…

ウニタ書店にてマイエンブルク『火の顔』購入。ドイツ現代戯曲選の第1巻。

オノレ・ド・バルザック『ウジェニー・グランデ』

うかうかしているうちに「バルザック幻想・怪奇小説選集」の『呪われた子』も刊行されてしまった(お金がないのでまだ購入していないが)。積読の『従兄ポンス』『「絶対」の探求』『ユルシュール・ミルエ』をできるだけ早く消化して、後ろめたさなく『呪わ…

ムアコック『剣のなかの竜』購入。「エレコーゼ」シリーズの完結篇。

ヘルベルト・アハターンブッシュ『長靴と靴下』

ドイツ現代劇・8冊目。 ちょっと前に読了していたものの、(以下略)。これらのドイツの現代劇は、どれも難解でうまく消化しきれてないため、おすすめマークをつけていないけど、読み応えがあることは確か(だから「ドイツ現代戯曲選」シリーズの講読を続け…

E.M.フォースター『果てしなき旅』全2巻

たまには正統派。 読みやすいっていいな。これがジョイスとかウルフとかフォークナーとかならこうやすやすとは読めまい。うん、3、4年前までフォースターとフォークナーを混同していたことは君と僕だけの秘密だよ。果てしなき旅〈上〉 (岩波文庫)作者: E.M…

今月は早川の一人勝ちだ。続刊もののムアコックとマーティンはもとより、ティプトリーとバンヴィルは購入する予定。クッツェーは検討中。あとは松籟社のハインリヒ・マン(トーマス・マンの兄)と、白水社のゼーバルトが気になるところ。 松柏社のアメリカ古…

さておき、気づいてみると久々の長篇小説だ。先月は戯曲と短篇集ばっかりだったなあ(『狐になった奥様』も中篇くらいの分量だし)。今月こそは重くかつ長いものを、といきたいところだけど、前期末が近づいて体力が尽きそうになっているので、重くとも短い…

アルフレッド・ベスター『ゴーレム100』

『虎よ、虎よ』がSF屈指の名作に数えられる理由はわからなかったんだけど、この『ゴーレム100』の凄さはわかった。くだらないパルプだと切り捨てる人がいても驚かないけどね。ゴーレム 100 (未来の文学)作者: アルフレッドベスター,Alfred Bester,渡辺…