書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

いちおし

エドモン・ド・ゴンクール/ジュール・ド・ゴンクール『ゴンクールの日記』

ゴンクールの日記(上) (岩波文庫)作者: ゴンクール,斎藤一郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/01/16メディア: 文庫 クリック: 28回この商品を含むブログ (16件) を見るゴンクールの日記(下) (岩波文庫)作者: ゴンクール,斎藤一郎出版社/メーカー: 岩波…

ハシント・ベナベンテ『作り上げた利害』

作り上げた利害 (岩波文庫)作者: ベナベンテ,永田寛定出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1928/01/05メディア: 文庫 クリック: 34回この商品を含むブログ (7件) を見る 「じゃあ、この空っ尻が何を差出せるんだい。」 「馬鹿に手前を安く見やがる奴だなあ! …

アナトール・フランス『舞姫タイス』

舞姫タイス (白水Uブックス―海外小説の誘惑 (145))作者: アナトール・フランス,水野成夫出版社/メーカー: 白水社発売日: 2003/07メディア: 新書購入: 2人 クリック: 47回この商品を含むブログ (6件) を見る 要するに僕はお前を羨ましい人間だと思う。なぜな…

ミロラド・パヴィッチ『帝都最後の恋』

帝都最後の恋―占いのための手引き書 (東欧の想像力)作者: ミロラドパヴィッチ,Milorad Pavic,三谷惠子出版社/メーカー: 松籟社発売日: 2009/05メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 28回この商品を含むブログ (13件) を見る 勝利には子供がおらず、ただ父親…

古龍『碧血洗銀槍』

この女はまた大碗に酒を注いで彼に渡した。「お腹いっぱいになったら、酒を飲むべきね。さっさと飲みなさいよ」 今度は馬如龍は首を振った。「飲まぬ」 「あんた、鼻をつまみあげて注ぎ込んで欲しいの?」 馬如龍は取り合わなかった。彼は、女性が人前で彼の…

黄耐庵『嶺南逸史』

中国に来ているわけだが。 でも、やる事は一緒だぜ?(『東方花映塚』) というわけで。 嶺南逸史 黄耐庵 著 中英 中雄 校点 百花文芸出版社、1995年 明代の広東を舞台にした作品。才子黄逢玉と、張貴児・李小環・梅映雪・謝金蓮の四人の美少女の離合と苦難…

ジョージ・バーナード・ショー『ピグマリオン』

バーナード・ショー名作集 (1966年)作者: 鳴海四郎出版社/メーカー: 白水社発売日: 1966メディア: ?購入: 1人 クリック: 38回この商品を含むブログ (2件) を見る あなたがたはまるで大きな赤ん坊ね。生きたお人形をおもちゃにして遊んでいる。(377ページ…

金庸『鹿鼎記』全八巻

鹿鼎記 1 少年康熙帝作者: 金庸,岡崎由美,小島瑞紀出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2003/08/26メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (3件) を見る 「刀で殺すのも石灰で殺すのも、殺しは殺しじゃねえか。上品も下品もあるかい。くそがきの…

『ハインリヒ・マン短篇集3 後期篇』

ハインリヒ・マン短篇集〈第3巻〉後期篇―ハデスからの帰還作者: ハインリヒマン,Heinrich Mann,三浦淳,杉村涼子,岡本亮子,小川一治,田村久男出版社/メーカー: 松籟社発売日: 2000/07メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (2件) を見る グレー…

エミール・ゾラ『ごった煮』

ごった煮 (ルーゴン・マッカール叢書)作者: エミールゾラ,小田光雄出版社/メーカー: 論創社発売日: 2004/09/01メディア: 単行本 クリック: 13回この商品を含むブログ (4件) を見る この家は見世物小屋で、お前たちは奥様とすましこんでいるが、尻軽の淫売女…

『ハインリヒ・マン短篇集2 中期篇』

ハインリヒ・マン短篇集〈第2巻〉中期篇―ピッポ・スパーノ作者: ハインリヒマン,Heinrich Mann,三浦淳,日台なおみ,原口健治,田村久男出版社/メーカー: 松籟社発売日: 1999/07メディア: 単行本 クリック: 4回この商品を含むブログ (1件) を見る 彼は、相手の…

ピエール・クリスタン『着飾った捕食家たち』

(Amazonに登録なし?) ぼくら動物の未来を受け継ぐのはきみだ、きみこそふさわしい(377ページ) フランスのSF、という珍しさにひかれて、サンリオSF文庫に入ってるやつをちまちま集めてきた。とりあえず今まで読んだやつはどれもなかなかいい本だ…

アウグスト・ストリンドベリ『父』

『ストリンドベリ名作集』を入手したので、これから少しずつ読んでいこうと思う。まずは巻頭に収められている『父』から。ストリンドベリ名作集 (1975年)作者: ストリンドベリ,毛利三弥,千田是也,岩淵達治,石沢秀二,高橋康也出版社/メーカー: 白水社発売日: …

フリオ・コルタサル『悪魔の涎・追い求める男』

悪魔の涎・追い求める男 他八篇―コルタサル短篇集 (岩波文庫)作者: コルタサル,木村栄一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1992/07/16メディア: 文庫購入: 12人 クリック: 83回この商品を含むブログ (62件) を見る カメラを下げて歩けば、周囲にたえず注意を…

ハンス・ヤーコプ・クリストフェル・フォン・グリンメルスハウゼン『阿呆物語』全三巻

実に二週間ぶりの感想記事。いくらなんでも時間かかりすぎだ。集中力が足りない。阿呆物語 上 (岩波文庫 赤 403-1)作者: グリンメルスハウゼン,望月市恵出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1953/10/05メディア: 文庫 クリック: 49回この商品を含むブログ (2件…

莫言『転生夢現』全2巻

転生夢現〈上〉作者: 莫言,吉田富夫出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2008/02/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 51回この商品を含むブログ (18件) を見る転生夢現 下 (2)作者: 莫言,吉田富夫出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2008/02メディ…

エミール・ゾラ『ナナ』

ナナ (新潮文庫)作者: ゾラ,川口篤,古賀照一出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2006/12/20メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 40回この商品を含むブログ (16件) を見る ナナに乗るのは誰だ?(537ページ) ルーゴン=マッカール叢書第九巻。ヴァリエテ座の…

イタロ・カルヴィーノ『まっぷたつの子爵』

二日連続でいちおし。まっぷたつの子爵 (ベスト版 文学のおくりもの)作者: イタロカルヴィーノ,Italo Calvino,河島英昭出版社/メーカー: 晶文社発売日: 1997/08/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 28回この商品を含むブログ (25件) を見る そしておまえ…

ユージン・オニール『楡の木陰の欲望』

というわけで戯曲を読んだ。楡の木陰の欲望 (岩波文庫 赤 325-1)作者: ユージーン・オニール,井上宗次出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1974/01/01メディア: 文庫 クリック: 18回この商品を含むブログ (2件) を見る 音楽だって追っ払えねえ――あの何かを。(…

E.T.A.ホフマン『カロ風幻想作品集』

ホフマン全集〈1〉カロ風幻想作品集 (1976年)作者: 深田甫出版社/メーカー: 創土社発売日: 1976メディア: ?購入: 1人 クリック: 30回この商品を含むブログ (1件) を見るホフマン全集〈2〉力口風幻想作品集 (1979年)作者: 深田甫出版社/メーカー: 創土社発売…

ボフミル・フラバル『あまりにも騒がしい孤独』

現代チェコ文学というと、日本ではクンデラの一人勝ち状態だ。古典を含めても、クンデラほど読まれてるのはカフカと、せいぜいチャペックくらいだろう。でもこの三人のほかにも凄いのはいる。たとえばこの人。ボフミル・フラバル。あまりにも騒がしい孤独 (…

アラスター・グレイ『ラナーク』

カレンダーを見ると、今月下旬に入ってから、上旬に比べてあきらかに更新頻度が下がってるな。紹介した本の数も減ってるし。月末までにあと一、二冊は読破したいところ。ラナーク―四巻からなる伝記作者: アラスターグレイ,Alasdair Gray,森慎一郎出版社/メー…

ジョージ・タボーリ『ゴルトベルク変奏曲』

ドイツ現代劇、17冊目。タボーリは1914年生まれなので「ドイツ現代戯曲選」シリーズの作者のうちでは一番の年長者か。70〜80歳ころにかけて演出家・脚本家としての最盛期を迎えたというたいへんな晩成型で、90過ぎの今でもバリバリの現役だそう…

ハインリヒ・マン『ウンラート教授』

ハインリヒ・マンはかのトーマス・マンの兄なわけだが、知名度はぐっと下がる。そもそも彼ら兄弟が世に出たときから、トーマスが『ブッテンブローク家の人々』で大ヒットを飛ばしたのに対し、ハインリヒの『ウンラート教授』は好事家の間で話題になるにとど…

ウィリアム・シェイクスピア『テンペスト』

九日(休みを入れれば十日)にわたり、積読消化のために続けてまいりました戯曲祭りも本日で閉幕でございます。最後を飾るのは、やはりこの方でなくては。というわけでシェイクスピアの晩期傑作です。テンペスト (白水Uブックス (36))作者: ウィリアム・シェ…

ジャン・アヌイ『ひばり』

今年東京で公演があったらしく(演劇文庫で刊行されたのもそれゆえか)、ネット検索すると劇評記事がたくさん見つかる。演劇ファンというのはこれほど多かったのかと少々意外。戯曲は読むほうが専門、ほとんど観ないという私みたいなファンはかなり少数派な…

稲垣足穂『一千一秒物語』

キャラクターもなし。ストーリーもなし。緻密な構成も、洗練された修辞もいらない。そんなものなくとも面白い小説は書けるものなのだ。一千一秒物語―稲垣足穂コレクション〈1〉 (ちくま文庫)作者: 稲垣足穂出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/01メディア…

イリヤ・エレンブルグ『トラストDE』

ロシア文学というと19世紀のもののイメージが強すぎて、20世紀の作家はいまいちマイナーだけれども、実際のところ、その多士済々ぶりは19世紀作家たちを凌いですらいる。ブルガーコフを筆頭に、ブローク、ソログープ、ザミャーチン、パステルナーク、…

イヴァン・ゴンチャロフ『オブローモフ』全3巻

何度でも言うけど、せっかく復刊したので、この機会をお見逃しなきよう。『オブローモフ』は唯一無二の傑作で、ドストエフスキー、トルストイ、ツルゲーネフらの作品と並べてもまったく遜色がないばかりか、むしろ優れている点も多々あり。『断崖』も復刊し…

ヴィクトル・ペレーヴィン『チャパーエフと空虚』

この小説の感想をまとめるのは難しかった。一言で言うと東洋趣味の現代版ブルガーコフ……とでも? ロシア幻想文学の正統な流れを汲みつつ、現代作家でなければ書けない内容になっているので、『巨匠とマルガリータ』なんかが好きな人は必読だろう。チャパーエ…