書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

フランス文学

ジュール・シュペルヴィエル『海に住む少女』

これを出したのは光文社古典新訳文庫屈指のファインプレーだと思う。翻訳があふれかえってる『カラマ』や『赤と黒』より、こういうのこそを出して欲しいねえ。海に住む少女 (光文社古典新訳文庫)作者: シュペルヴィエル,永田千奈出版社/メーカー: 光文社発売…

サミュエル・ベケット『ゴドーを待ちながら』

ベケットについては、『マーフィ』とか『名づけえぬもの』とか読みかけては挫折していた私だが、ようやく一冊読了できた。読み終わってみれば、なるほど凄えや。ゴドーを待ちながら (ベスト・オブ・ベケット)作者: サミュエル・ベケット,安堂信也,高橋康也出…

ジュール・ヴェルヌ『海底二万里』全2巻

最近読んだ翻訳小説のうちではかなり読みやすい部類。ガスカールなんかに比べると倍近い速度で読めてしまった。読みやすいっていいよね。海底二万里〈上〉 (岩波文庫)作者: ジュールヴェルヌ,朝比奈美知子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/08/17メディ…

ピエール・ガスカール『けものたち 死者の時』

ぺらりとページをめくると、「本書は1955年、岩波書店より単行本として刊行された――編集部」と書いてある。半世紀前の単行本を平気な顔して文庫化するあたり岩波はえらい。ただ、せっかく半世紀ぶりの復刊文庫化なんだから、数ページの文庫版解説くらい…

ジャン・アヌイ『ひばり』

今年東京で公演があったらしく(演劇文庫で刊行されたのもそれゆえか)、ネット検索すると劇評記事がたくさん見つかる。演劇ファンというのはこれほど多かったのかと少々意外。戯曲は読むほうが専門、ほとんど観ないという私みたいなファンはかなり少数派な…

ローラン・トポール『幻の下宿人』

幻の下宿人 (河出文庫)作者: ローラントポール,Roland Topor,榊原晃三出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2007/09/04メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (14件) を見る 自分を打ち倒そうとつけ狙う陰謀のきざしがあることを知ってから、ト…

ジュール・ヴェルヌ『海底二万里』(上)

時は19世紀後半、世界の大洋の各地で謎の巨大生物が目撃されていた。学者のアロナックスはこの怪物を退治するためリンカーン号に乗り込むが、怪物の正体は――。 ヴェルヌの代表作たるこの作品、これぞSF、これぞ本物の冒険小説といった感じの傑作だ。細か…

オノレ・ド・バルザック『ウジェニー・グランデ』

うかうかしているうちに「バルザック幻想・怪奇小説選集」の『呪われた子』も刊行されてしまった(お金がないのでまだ購入していないが)。積読の『従兄ポンス』『「絶対」の探求』『ユルシュール・ミルエ』をできるだけ早く消化して、後ろめたさなく『呪わ…

アナトール・フランス『ペンギンの島』

アナトール・フランスはいいよ〜すごいよ〜みんな彼のことを軽んじすぎだよ〜。 まあね、近現代フランス文学史を見るとき、どうしてもダダとかシュルレアリスムとかヌーボーロマンとかの派手なところに目が行っちゃうのは仕方ないんだけどさ。でも「現代に相…

オノレ・ド・バルザック『アネットと罪人』

これもまだまだ若書きな感じがするの〜。才能のひらめきは見せているけれども、やはり『ゴリオ』『ベット』などには及んでおらんわい。しかし、水声社のバルザック幻想・怪奇小説選集の続刊『ユルシュール・ミルエ』は「人間喜劇」シリーズの作品だから、巨…

オノレ・ド・バルザック『百歳の人』

楽しい読み物だ、が、バルザックの本領はまだ発揮されていないか。「人間喜劇」シリーズの作品群はこんなもんじゃなかった。正直なところ、これを買うよりは藤原書店の人間喜劇セレクションをどれか一冊買ったほうが良かったかも、と思わないでもない。いや…

ミシェル・ジュリ『不安定な時間』

面白いけど、乗っていけなかった部分もあり。やはり眠くて頭が回らないときに幻想小説系のものなど読むものではないなあ。 で、ネット書評などを見ると同じ作家の『熱い太陽、深海魚』はさらに評価が高いようだ。いつかは手にしてみたいもの。 あと、amazon…

オノレ・ド・バルザック『暗黒事件』

2chのバルザックスレなんかでも『ゴリオ』『ベット』『ラブイユーズ』などと並んで人気のこの作品を読了。さすがバルザック。やっぱり傑作。ローランス萌え。暗黒事件 (新潮文庫)作者: バルザック,小西茂也出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1953/10メディ…

マルセル・ブリヨン『砂の都』

前のアレナスとかグゴーとかに比べるとずっと地味。しかしそれもまた味わいってもんだ。地味といっても内容が薄いわけじゃないしね。砂の都作者: マルセルブリヨン,Marcel Brion,村上光彦出版社/メーカー: 未知谷発売日: 2007/04/01メディア: 単行本 クリッ…

アンリ・グゴー『大脱出』

前情報なしのタイトル買い、というか、「グゴーって名前はなんかユゴーに似てるな〜」といういい加減な理由で買ったこの本、大当たり。ブラヴォー、俺様の勘。大脱出 (1982年) (白水社世界の文学)作者: アンリ・グゴー,榊原晃三出版社/メーカー: 白水社発売…