書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

ロシア文学

ウラジーミル・ソローキン『青い脂』

青い脂作者: ウラジーミル・ソローキン,望月哲男,松下隆志出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2012/08/23メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 6人 クリック: 393回この商品を含むブログ (54件) を見る 大まかにいって三部構成。第一部は、未来シベリア…

シギズムンド・クルジジャノフスキイ『瞳孔の中』

瞳孔の中 クルジジャノフスキイ作品集作者: シギズムンド・クルジジャノフスキイ,上田洋子,秋草俊一郎出版社/メーカー: 松籟社発売日: 2012/07/31メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 30回この商品を含むブログ (8件) を見る 多くの人が酒もタバコも…

イワン・ツルゲーネフ『春の水』

春の水 (岩波文庫)作者: ツルゲーネフ,中村融出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1961/07/25メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログを見る ――ほんとに、これは不思議だと思うんですけれど、――とだしぬけにマーリヤ・ニコラーエヴナが切り出した。―…

イヴァン・ゴンチャロフ『断崖』

岩波文庫赤帯では最もレアな本の一つとして知られ、古書店では五冊ぞろい三万五千円などという値段がつくこともあった。このたびの新装復刊はまことにめでたい。にも関わらずネットの反応がいまいち盛り上がっていないような気がする。もっとみなで祝おうで…

イヴァン・ゴンチャロフ『断崖(1)』

断崖(一) (岩波文庫)作者: ゴンチャロフ,井上満出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/09/17メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 62回この商品を含むブログ (7件) を見る 「あなたの眼前に本物の生き生きした人生が、幸福が出て来たのに、あなたはそれを突…

イワン・ゴンチャロフ『平凡物語』

平凡物語(上) (岩波文庫)作者: ゴンチャロフ,井上満出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/06/17メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 19回この商品を含むブログ (10件) を見る平凡物語(下) (岩波文庫)作者: ゴンチャロフ,井上満出版社/メーカー: 岩波書店…

ヴィクトル・ペレーヴィン『宇宙飛行士オモン・ラー』

宇宙飛行士オモン・ラー (群像社ライブラリー)作者: ヴィクトルペレーヴィン,尾山慎二出版社/メーカー: 群像社発売日: 2010/06メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 89回この商品を含むブログ (44件) を見る なぜならマルクス主義はなにものにも打ち克つ真実…

ワレーリヤ・ナールビコワ『ざわめきのささやき』

ざわめきのささやき (群像社ライブラリー)作者: ワレーリヤナールビコワ,吉岡ゆき出版社/メーカー: 群像社発売日: 1997/07メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 15回この商品を含むブログ (3件) を見る お茶を入れに台所に立ったニ=ヴは誰かがドアを開ける…

タチヤーナ・トルスタヤ『金色の玄関に』

作者はA.N.トルストイの孫娘。そういえばA.N.トルストイは読んだことないな。『苦悩の中をゆく』は面白いのかしらん?金色の玄関に作者: タチヤーナトルスタヤ,Tatyana Tolstaya,沼野充義,沼野恭子出版社/メーカー: 白水社発売日: 1995/05メディア: …

S.T.アクサーコフ『釣魚雑筆』

釣魚雑筆 (岩波文庫)作者: S.T.アクサーコフ,貝沼一郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1989/12/18メディア: 文庫 クリック: 8回この商品を含むブログ (3件) を見る 二部構成の釣りの本。第一部は竿の作り方や釣り場所の選び方など釣りの技術的なことを記し…

テッフィ『魔女物語』

魔女物語 (群像社ライブラリー)作者: テッフィ,田辺佐保子出版社/メーカー: 群像社発売日: 2008/09メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (4件) を見る 「わたしはぜんぜん神経質になんかなっちゃいませんわよ」わたしは言い返してやったわ。…

ウラジーミル・コロレンコ『盲音楽師』

盲音楽師 (岩波文庫)作者: コロレンコ,中村融出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1954/04/25メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (1件) を見る 生まれつき盲目だが類まれな音楽の才能をもつピョートルの、誕生から幼少期・青年期を経て初舞台に…

イヴァン・ゴンチャロフ『日本渡航記』

『断崖』はいっこうに復刊されないし、『平凡物語』も手に入りそうにない中、ゴンチャロフの本が新たに文庫に入ったということでさっそく読んでみた。小説じゃないのは残念だが仕方ない。 どこでもいいから、『ゴンチャロフ全集』を出してくれないかな。ゴン…

ウラジーミル・ソローキン『愛』

愛 (文学の冒険シリーズ)作者: ウラジーミル・ソローキン,亀山郁夫出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 1999/01/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 212回この商品を含むブログ (54件) を見る 短篇集。 『ロマン』の短篇版といった感じ。どの作品も基本…

アレクサンドル・ガーリン『ジャンナ』

ジャンナ〈2幕〉 (群像社ライブラリー)作者: アレクサンドルガーリン,Aleksandr Galin,堀江新二出版社/メーカー: 群像社発売日: 2006/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 「一人でこれから何をするつもりですか?」 「私? 私はこれから窓…

アレクセイ・トルストイ『ドン・ジュアン』

このあいだ古本屋でたくさん戯曲を買い込んだので、本日よりしばらく戯曲祭りを開催。つんである戯曲作品もついでにいくつか消化しておこう。 まずは三人のトルストイのうち個人的にお気に入りのA.K.トルストイ。ちなみにA.N.トルストイは未読。L.…

ニコライ・ゴーゴリ『ペテルブルグ物語』

ロシア幻想文学といえば、ゴーゴリ−ドストエフスキー−ブルガーコフ−ペレーヴィンなどの現代作家、というラインで語られることが多い。このうちドストエフスキーやブルガーコフは大好物で、現代作家にも好きな作家が多い私だが、ゴーゴリについては軽めの喜劇…

イリヤ・エレンブルグ『トラストDE』

ロシア文学というと19世紀のもののイメージが強すぎて、20世紀の作家はいまいちマイナーだけれども、実際のところ、その多士済々ぶりは19世紀作家たちを凌いですらいる。ブルガーコフを筆頭に、ブローク、ソログープ、ザミャーチン、パステルナーク、…

イヴァン・ゴンチャロフ『オブローモフ』全3巻

何度でも言うけど、せっかく復刊したので、この機会をお見逃しなきよう。『オブローモフ』は唯一無二の傑作で、ドストエフスキー、トルストイ、ツルゲーネフらの作品と並べてもまったく遜色がないばかりか、むしろ優れている点も多々あり。『断崖』も復刊し…

アレクサンドル・ブローク『薔薇と十字架』

1995年に出た本。私は古本屋で入手したけれど、平凡社のウェブサイトを見るとまだ在庫があるようだ。書店の店頭にはほとんど残っていないだろうけど、注文すれば入手できるので、興味がある人はどうぞ。薔薇と十字架 (平凡社ライブラリー)作者: アレクサ…

オシップ・マンデリシュターム『石』

久しぶりマンデリシュターム。やっぱりきちんと中身を理解することはできない詩が多いのだけれど、この静謐で冷然たる空気はやはりなかなか心地良いもの。それにしても詩の感想を書くのは実に難しい。詩集 石―エッセイ 対話者について (群像社ライブラリー)…

ヴィクトル・ペレーヴィン『チャパーエフと空虚』

この小説の感想をまとめるのは難しかった。一言で言うと東洋趣味の現代版ブルガーコフ……とでも? ロシア幻想文学の正統な流れを汲みつつ、現代作家でなければ書けない内容になっているので、『巨匠とマルガリータ』なんかが好きな人は必読だろう。チャパーエ…

ドミートリー・フールマノフ『チャパーエフ』全2巻

うん、まあ、最初から期待はしてなかったけどね。『チャパーエフと空虚』を楽しむための準備だとしか思ってなかったし。しかし、これほど単調な作品とは思わなかった。こんなことなら、映画のほうを観ておけばよかったかなあ。――これで内容的にほとんど関係…