書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

読書感想

紫式部『源氏物語』

ウェイリー版 源氏物語〈1〉 (平凡社ライブラリー)作者: 紫式部,Arthur Waley,アーサーウェイリー,佐復秀樹出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2008/09/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 21回この商品を含むブログ (15件) を見る源氏物語 2 ウェイリー版 …

ファルク・リヒター『崩れたバランス/氷の下』

崩れたバランス/氷の下作者: ファルクリヒター,Falk Richter,新野守広,村瀬民子出版社/メーカー: 論創社発売日: 2009/12メディア: 単行本 クリック: 8回この商品を含むブログ (1件) を見る 「あれは皆死んでるんじゃないんです、死体に見えるだけですから、…

ワシントン・アーヴィング『ブレイスブリッジ邸』

ブレイスブリッジ邸 (岩波文庫)作者: アーヴィング,齊藤昇出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2009/11/13メディア: 文庫 クリック: 7回この商品を含むブログ (8件) を見る そうだとしてもなお、そのような夢を 育んだ時代にいた彼らを、 私は羨まないではいら…

モリエール『スカパンの悪だくみ』

スカパンの悪だくみ (岩波文庫 赤 512-8)作者: モリエール,鈴木力衛出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2008/12メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (7件) を見る 「そんな計画は止めにしたほうが身のためだぜ、もう前にも言ったけれ…

ウィリアム・シェイクスピア『ペリクリーズ』

ペリクリーズ (白水Uブックス (33))作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志出版社/メーカー: 白水社発売日: 1983/10/01メディア: 新書 クリック: 2回この商品を含むブログ (3件) を見る ツロの領主ペリクリーズは、アンタイオカスの王女がその父と近親…

アナトール・フランス『舞姫タイス』

舞姫タイス (白水Uブックス―海外小説の誘惑 (145))作者: アナトール・フランス,水野成夫出版社/メーカー: 白水社発売日: 2003/07メディア: 新書購入: 2人 クリック: 47回この商品を含むブログ (6件) を見る 要するに僕はお前を羨ましい人間だと思う。なぜな…

蔡萬植『太平天下』

太平天下 (朝鮮近代文学選集)作者: 蔡萬植,布袋敏博,熊木勉出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2009/03/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (1件) を見る 長編「太平天下」と短編「レディメイド人生」「民族の罪人」を収める。舞台は日本占…

イスマイル・カダレ『死者の軍隊の将軍』

死者の軍隊の将軍 (東欧の想像力)作者: イスマイルカダレ,Ismail Kadare,井浦伊知郎出版社/メーカー: 松籟社発売日: 2009/10メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 70回この商品を含むブログ (25件) を見る そこにあるのはいつだって、嫌なことだし、隠してお…

藍霄『錯誤配置』

錯誤配置 アジア本格リーグ1作者: 藍シャウ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/09/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (19件) を見る そこで藍霄先生、あなたですよ。おめでとうございます。その役を演じるにもっともふさわし…

ミロラド・パヴィッチ『帝都最後の恋』

帝都最後の恋―占いのための手引き書 (東欧の想像力)作者: ミロラドパヴィッチ,Milorad Pavic,三谷惠子出版社/メーカー: 松籟社発売日: 2009/05メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 28回この商品を含むブログ (13件) を見る 勝利には子供がおらず、ただ父親…

エミール・ゾラ『ウージェーヌ・ルーゴン閣下』

ぐぐってみたら「ルーゴン=マッカール叢書」の感想を書いているブログがけっこう増えてるね。いいことだ。これから叢書に挑戦しようという人には『パリの胃袋』『ごった煮』または傑作『ジェルミナール』あたりから入るのがお薦めです。『居酒屋』『ナナ』…

スタニスワフ・レム『泰平ヨンの航星日記』

復活できるかな? 私は電車に乗らないとまともに本が読めない、ということはわかった。泰平ヨンの航星日記〔改訳版〕 (ハヤカワ文庫 SF レ 1-11)作者: スタニスワフ・レム,John Harris,深見弾,大野典宏出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2009/09/05メディア:…

崔象川『白圭志』

江西の張博は巨万の富を持ちながら、仁義に厚く財を軽んじることで名声高かった。ある日、張博の財に目がくらんだ親戚の張宏は、密かに張博を毒殺し、張博の遺児の面倒を見るとて張博の財産を管理するようになる。時がたって、張博の遺児張庭端とその妹張蘭…

作者不詳『争春園』

時は前漢。開封の義士・郝鸞は、仙人の司馬傲から三口の宝剣を譲られ、さらに二人の好漢を探して剣を渡し、事業を成し遂げよと告げられる。ある日彼は、争春園で亡父の友人・風竹と、その娘・風棲霞の婚約者である孫佩の二人と知り合う。権官・米中立の公子…

古龍『三少爺的剣』

燕十三は淡々と言った。「俺を殺そうというやつはあんたひとりだけじゃない」 高通は言った。「あんたは有名すぎるからな、あんたを殺しさえすれば、すぐに名を成すことができる」彼は冷笑して続けた。「江湖のうちに名を成すのは簡単なことじゃないが、この…

張小山『平金川』

「私はヨーロッパのローマ教皇だ。ロシア、イギリス、フランス、ポーランドなどの国はみな私の号令を聞く。天命の帰するところを知るがゆえに、清朝に一臂の力を貸しに来たのだ」(413ページ) 時は清代の雍正年間。青海の王・羅卜蔵丹津の叛乱を鎮圧する…

蘇童『我的帝王生涯』

殺せ。私は弓矢を立て、目と口を見開いている燕郎に言った、楊松は勝手に守備の職を離れただけでも死罪に値する、今、やつはさらに敗軍の将となった、殺さないわけにはいかぬ。 陛下、見事な射芸です。燕郎は軽い声で付和した。燕郎の小さな顔には驚きと媚び…

作者不詳『天豹図伝』

賽金は彼らが李栄春を探し出せないでいるのを見て、言った。「秦氏、李栄春はいたかしら?」秦氏の胸倉をつかんで、「どう説明するつもりなの?」 秦氏は言った。「賽金、無礼はよしなさい」 頭突きをしようとしたが、賽金はそれを手ではっしと受け止め、秦…

古龍『碧血洗銀槍』

この女はまた大碗に酒を注いで彼に渡した。「お腹いっぱいになったら、酒を飲むべきね。さっさと飲みなさいよ」 今度は馬如龍は首を振った。「飲まぬ」 「あんた、鼻をつまみあげて注ぎ込んで欲しいの?」 馬如龍は取り合わなかった。彼は、女性が人前で彼の…

格非『人面桃花』

でもな、なぜか分からないが、ここ数日、俺たちがやろうとしていたことは、根本的に間違っているかもしれない、あるいは、それに対して俺が言うことはまるで重要じゃない、それどころかまったく価値がない、そう、まったく価値がないと感じるようになった。…

金庸『侠客行』

侠客行 口袋本金庸作品集26,27 金庸 著 広州出版社 花城出版社 2006年4月 父親が誰だかわからない主人公「狗雑種」は、失踪した母を探して町に出たところ、宝物「玄鉄令」をめぐる争いを目にする。ひょんなことから玄鉄令を手に入れた狗雑種は、その本来の主…

古竜『蕭十一郎』

蕭十一郎 古竜 著 珠海出版社 2009年1月 風四娘は侠盗・蕭十一郎と手を組んで名刀・割鹿刀を盗もうと試みるが、偽物をつかまされる。二人は割鹿刀が沈家荘に送られると知り、風四娘の知人・楊開泰に頼んで沈家荘に招いてもらうが、何らかの事故があったらし…

雲封山人『鉄花仙史』

鉄花仙史 明末清初小説選刊 雲封山人 著 沈錫麟 校点 春風文芸出版社 1985年9月 名士・蔡其志は一人娘の蔡若蘭を親友王悦の子・王儒珍と婚約させるが、王悦の死後貧窮した儒珍を見て、婚約を後悔する。それを見た夏元虚という者が仲人を立てて若蘭に結婚を申…

余華『在細雨中呼喊』

史鉄生はどうしたかって? まあまあ、ゆっくり行こうじゃない。 在細雨中呼喊 余華 著 上海文芸出版社 2004年1月 あれが、私の父が最も威風凛々としていた時点だった。彼は警察に大声で言った。 「あんたらが探しているのは誰かね?」彼は胸を張って言った。…

衛斯理『真菌の毀滅』

真菌之毀滅 衛斯理 著 上海書店出版社 2008年9月 香港の作家・ゲイ匡が主人公の名前を筆名として発表したSFシリーズもので、『妖火』の続編。秘密組織に拉致され海底の基地に連れてこられた衛斯理は、そこに捕らわれていた張小竜とついに会う。組織の首領…

ジュール・ヴェルヌ『機器島』

機器島 ヴェルヌ 著 劉常津・侯合余 訳 訳林出版社 2008年8月 「どこにいようと、人はすべて死ぬものですから」 「ここではそうではないのですよ、あなた、天国では人は死なないのです」(139ページ) 海上を移動する人工の機械島「標準島」、その上にあ…

温瑞安『剣気長江・両広豪傑』

剣気長江・両広豪傑 温瑞安 著 花城文芸出版社 2001年12月 巨岩の上に、風雨の中、釣り糸を垂らしている老人が確かにいた。 この老人は確かに、昼間流されていく舟を片手で止めた鉄衣の老人でいった。 老人は眉も髭も白く、黒の衣は鉄のよう。長江に臨む、川…

黄易『域外天魔』

域外天魔 黄易 著 華芸出版社 1998年8月 秘密結社・抗暴連盟の責任者「高山鷹」からテロリスト集団・末日聖戦団のことを調べるよう依頼された凌渡宇は、敵の行方を追って日本へ降り立つ。このとき日本では、聖戦団による大富豪の娘・大野千恵子の誘拐事件が…

衛斯理『妖火』

妖火 衛斯理 著 上海書店出版社 2008年9月 語り手の衛斯理は、大晦日にたまたま出会った金持ちの老人・張海竜から、失踪した生物学者の息子・張小竜の行方を探して欲しいと依頼される。張小竜の行方と彼の研究の謎を追ううち、同じく張小竜を探す者たちが次…

黄耐庵『嶺南逸史』

中国に来ているわけだが。 でも、やる事は一緒だぜ?(『東方花映塚』) というわけで。 嶺南逸史 黄耐庵 著 中英 中雄 校点 百花文芸出版社、1995年 明代の広東を舞台にした作品。才子黄逢玉と、張貴児・李小環・梅映雪・謝金蓮の四人の美少女の離合と苦難…