書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

冲方丁『オイレンシュピーゲル弐』

 連作集だった一巻と違って長篇になっているため、読み応えがぐっと増している。容赦ない展開と激烈な戦闘描写には思わず手に汗。一つ不満を言うと、せっかくロシア兵が登場しているのだから、一度でいいから彼らに「ウラー!」の掛け声を叫ばせて欲しかった。「ヤー」とか「ハイル」は多いのに、「ウラー」がないのは(ロシア文学ファンとしては)寂しい。姉妹篇『スプライトシュピーゲル』の二巻は7月発売の由。