イタロ・カルヴィーノ『魔法の庭』
足穂を読んだらカルヴィーノを読みたくなった。で買って読んだ。
- 作者: イタロカルヴィーノ,Italo Calvino,和田忠彦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/08
- メディア: 文庫
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はじめて見る海の底は美しい。だが最高の美しさは、何事でも、あとからやってくるものだ。(「大きな魚、小さな魚」96ページ)
初期短篇集。
稲垣足穂を読んだらカルヴィーノを読みたくなった、というのは、つまり『レ・コスミコミケ』みたいな作品を読みたかったということなのだけれど、この『魔法の庭』はむしろ『くもの巣の小道』に近いリアリズム系の作品集だった。『レ・コスミコミケ』や『柔かい月』が(あるいは『一千一秒物語』が)月と星の下の物語であるのに対して、これは明るい太陽の下の物語といった感じ。そういうわけで読みたかったタイプの作品ではなかったのだけれど、カルヴィーノの持ち味である軽やかさは充分に発揮されているので、楽しく読めたのは確か。本書に収められた十一篇の短篇のうちでは、「不実の村」と「大きな魚、小さな魚」がいい。次点で「うまくやれよ」「菓子泥棒」あたり。二十ページ以下の掌編が多いので、本屋で一篇立ち読みして、肌に合いそうなら買ってみるといい。