エルフリーデ・イェリネク『汝、気にすることなかれ』
ドイツ現代劇、十三冊目。
汝、気にすることなかれ―シューベルトの歌曲にちなむ死の小三部作 (ドイツ現代戯曲選30)
- 作者: エルフリーデイェリネク,Elfriede Jelinek,谷川道子
- 出版社/メーカー: 論創社
- 発売日: 2006/03/01
- メディア: 単行本
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――ううむ、この作品には歯が立たなかったなあ。
論創社の「ドイツ現代戯曲選」にはなかなか読み応えのあるハードな作品が多いが、この戯曲は今までに読んだ十三冊の中で最難関だったと思う。同じイェリネクの『レストハウス』も手ごわい読み物だったが、いちおうキャラクターとか軸になる話というのはあって、それを頼りに読み進んでいくことができた。がこちら『汝、気にすることなかれ』は隠喩や引用にあふれている(らしい)長大な独白が作品の大部分を占めていて、正直なところ、どこからどう取っ組めばいいのやら見当がつかなかった。個々の文意は明瞭なのだが、前後のつながりや展開がつかめないでおわってしまった。