冲方丁『オイレンシュピーゲル 参』
オイレンシュピーゲル 参 Blue Murder (3) (角川スニーカー文庫 200-3)
- 作者: 冲方丁,白亜右月
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/11/01
- メディア: 文庫
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人生はほとんど最高だ。(86ページ)
そして姉妹篇のこちらの第三巻も同時発売されたので間を空けずに読んでみた。こちらは全三話からなる連作という構成になっている。第二巻は『オイレン』と『スプライト』でほぼ同じ時系列を扱っていたが、この第三巻では両篇で扱っている時間はかなり異なる。『スプライト』は24時間の出来事を描いているが、この『オイレン』はもう少し長い期間を扱っていて、『スプライト』全篇で扱われている時系列は、こちらではわずか20ページ強くらいの分量で描かれている。内容もかなり違っていて、こちらでは少女たちの過去にまつわる謎をめぐる話が作品の軸になっている。また、恋愛描写の部分が多いし心理描写もより細かい。
『スプライト』は事件中心、『オイレン』はキャラクター中心の話になっていると思う。ライトノベルの感想サイトなどを見ていると『オイレン』の評価がより高いようだが、人物描写の濃い作品を求めるファンが多く、それで『オイレン』に人気が集まっているのだろう。私としては、権力に近い立場の人たちの視点がより多く混じる『スプライト』もけっこう好みなのだが。