R.B.シェリダン『悪口学校』
- 作者: シェリダン,Richard Brinsley Sheridan,菅泰男
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1981/10/16
- メディア: 文庫
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ま、おれを愛させることはできそうもないが、喧嘩をするだけで大いに満足だ。おれを困らせるのに精一ぱいやる時ほど、あれが見ばえすることはないからな。(45ページ)
他人の噂が三度の飯より好きな連中が集まる、社交界を舞台にした風習喜劇。謹厳な兄ジョーゼフと放蕩者の弟チャールズ。兄弟の叔父オリヴァーは二人の真の性格を見極めるべく、変装して二人に近づく。オリヴァーの作戦行動に社交界の男女の感情の駆け引きも加わって、すったもんだの大騒動に。
イギリスでは通算上演回数が『オセロー』に匹敵するほど人気のある劇だという。また、オンラインの感想を見てまわったところ、絶賛する記事が多いようだ。
……が、いまひとつ私好みじゃない。
チャールズが先祖の肖像画を競売にかけるくだりとか、ジョーゼフの屏風のエピソードなんかは確かになかなか笑えるのだけれど、作品全体の空気がどうもおおらかすぎる。そこが売りなのかもしれないが、個人的にはもう少し辛辣さが欲しいところ。また序盤の展開がゆっくりで、オリヴァーやチャールズなどの主役がなかなか登場してこないので、ちょっと乗っていけなかった。悪口大好きな社交界の人々のセリフまわしも、作為がかちすぎるような印象。
どうもこう、普通感が漂ってるんだよな。も少し強烈な個性が欲しい。