書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

モーリス・ルブラン『奇岩城』

奇岩城 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

奇岩城 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

カエサルからルパンへ、それで終わりだ。(284ページ)

 ジェーヴル伯爵邸に賊が忍び入った。ところが盗まれたものはなにもない。また、伯爵の姪レイモンドに撃たれ重傷を負い、逃げられないはずの賊の姿はどこにも見つからない。この謎を解いた高校生探偵ボートルレは、さらなる謎をめぐって怪盗紳士ルパンと対決する。

 小学生時代に夢中になって読んだ本。懐かしさもあり、内容をほぼ全く忘れていたこともあって、買って読んでみた。
 謎と、その解決とを入れ替え入れ替えて次々に提示し、読者を飽きさせない語り口はさすがで、今以上に未熟な読者だった往時の私が夢中になって読んだのもうなずける。今回も、キャラクター描写(特に、ボートルレとルパン以外のキャラ描写)にやや物足りない感じを受けたとはいえ、やはりついつい先へ先へ読み進めてしまった。それと特筆すべきは、ルパンをめぐる謎の、歴史的なスケールの大きさだろう。なにしろカエサルやロロやジャンヌ・ダルクまで持ち出しているのだから。