李文烈『われらの歪んだ英雄』
- 作者: 李文烈
- 出版社/メーカー: 情報センター出版局
- 発売日: 1992/02/26
- メディア: 単行本
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大傑作『皇帝のために』と比べると、長さのみならず内容の濃さの点でも小粒で地味な印象を受けるが、巧みな筋運びで三編とも一息で読めるだけの面白さはある。表題作は、主人公ソクテと語り手ビョンテ以上に、その他大勢の人物の描写がなかなか容赦なくてうまい。
控えめな語り口とほろ苦い自嘲の調子も印象は悪くないんだが、やっぱり、『皇帝のために』のような壮大で風刺と諧謔を押し出した内容のほうが好みだ。
ともあれ、「韓国文学でいい小説はないか」と探している人には、李文烈の小説を推す。特に『皇帝のために』を改めて強く推しておきたい。