ダニエル・ぺナック『カービン銃の妖精』

- 作者: ダニエルペナック,Daniel Pennac,平岡敦
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1998/01
- メディア: 単行本
- 購入: 2人 クリック: 4回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
でもね、よく聞きなさい、マロセーヌ。休暇中だからって、スケープ・ゴートじゃなくなったなんて思わないことね! あなたは骨の髄まで山羊なんだから。いいこと、たった今だって、誰かが街でとんでもない馬鹿をしでかして、犯人捜しが行われたら、まっさきにあなたが名指しされるのよ!(21ページ)
『人喰い鬼のお愉しみ』に続く、ユーモア・ミステリ「犠牲の山羊マロセーヌ」シリーズ第二作。老人刺殺事件が相次ぐ中、今度は老婆に警官が殺される事件が起こり、やり手の刑事パストールとヴァン・チアンが捜査に乗り出す。そのころマロセーヌは、恋人ジュリーの頼みによって、麻薬中毒の老人をかくまい世話していた。
二転三転するストーリー(多少御都合主義を感じさせるところもあるが)、冗長で肩の力の抜けたぼやき調の語りと、一癖も二癖もあるキャラクターが相変わらず楽しい。なんというか、ちょっと日本のライトノベルとかに通じる楽しさがある。
新キャラのうちでは、見た目に反してしたたかでやり手なパストールの活躍が光る。その相棒チアンもなかなか面白い。知らぬ間に疑いをかけられるマロセーヌのスケープゴートっぷりも健在。マロセーヌの兄弟たちのうちでは、カメラ魔クララの出番は多少減ったものの、新たに老人キラーという面が発覚した予知能力少女テレーズが要所を締める。