ウラジーミル・ソローキン『愛』
- 作者: ウラジーミル・ソローキン,亀山郁夫
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 1999/01/01
- メディア: 単行本
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短篇集。
『ロマン』の短篇版といった感じ。どの作品も基本的には、綺麗で自然な場面や会話が端正に描写され、やがて唐突にスプラッタ、スカトロ、オナニー、セックス(往々にしてホモセクシャルの)などの描写に移る。しかもその際、文体までも、繰り返しを多用したり句読点の省略したりした異様なものに変わる。
基本的なところが『ロマン』と共通なせいもあって、読み進むにつれて驚きも少なくなり、さすがに飽きてきた。『ロマン』に比べれば端正な部分の溜めが少ない分、スプラッタに移る際のインパクトも少なめ。
ソローキンの作風が『ロマン』や『愛』からどう変化しているか気になるので、近作の翻訳も望みたいところ(亀山さん、ドストエフスキーなんかやってないで、ソローキン訳してよ)。