イーゴル・バウアージーマ『ノルウェイ.トゥデイ』
ドイツ現代劇、22冊目。
- 作者: イーゴルバウアージーマ,Igor Bauersima,萩原健
- 出版社/メーカー: 論創社
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (2件) を見る
「いや、マジさ。何百万っていう人間が君みたいなのを捜してる。そういう悲しげな、ちょっと堕落した女の子を」(38ページ)
実際にあったネット心中事件を題材にした作品。ユーリーは自殺サイトで心中相手を募集し、アウグストがこれに応じる。かくて二人はノルウェイの断崖へ赴くのだが――。
登場人物が若い男女二人だけで、しかも主題が心中ということだから、ナイーブで痛くて読んでられないような代物かと想像していたが、思ったよりユーモアがきいていたのでわりと楽しく読めた。ネット心中という時事的なネタを扱ったものとしてではなく、人生を悟った気になっている生意気二人組の青春コメディだと思って読んだほうがたぶん面白い。
多くの人が通り抜ける青春時代(最近流行りの言葉で言えば中二病時代)を描いた作品ということで、時事ネタに留まらない、普遍的な作品といるかもしれない。
構成、台詞回しはともに平易で読みやすい。