書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

2007年度(2007年4月〜2008年3月)のベスト10

1位:莫言『転生夢現
 舞台・時代設定はお馴染みのものであるものの、ますます熱い莫言節にまたしてもくらくら参ってしまった。
2位:アレナス『夜明け前のセレスティーノ』
 ラテンアメリカで一番好きかも。奔放な幻想と展開で見せる。続刊『真っ白なスカンクどもの館』翻訳されないかなー。
3位:H.マン『ウンラート教授
 俗物教師とマセガキの対決が熱い――もといユーモラスな学校小説の傑作。アイロニカルな展開に思わずにやり。
4位:フラバル『あまりにも騒がしい孤独』
 シュールレアリズムイン東欧。日常に潜む幻想と、不条理を笑い飛ばすしたたかさ。
5位:シェイクスピアテンペスト
 復讐と許しのファンタジー。巨匠の最後にして最高の傑作。エアリエルがかわいい。
6位:エレンブルグ『トラストDE』
 乾いた文章で淡々とつづられるヨーロッパの滅亡の歴史。きついブラックユーモア。
7位:ペレーヴィン『チャパーエフと空虚』
 革命時代とペレストロイカ時代が交わり入れ代わる。このカオスっぷりは尋常じゃない。そして結末の爽快感ときたら。
8位:アヌイ『ひばり』
 ジャンヌ・ダルクの脱神話化。凝った構成と、怒涛の勢いで応酬される台詞が売り。
9位:グレイ『ラナーク』
 壮大なスケール、グロテスクな挿絵、思わせぶりな構成と高いリーダビリティー。高質な娯楽の条件を全て備えた作品。
10位:カルヴィーノ『まっぷたつの子爵』
 作者の出世作カルヴィーノらしい軽さを備えた寓話。良作。