書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

冲方丁『オイレンシュピーゲル 肆』

笑えねえ冗談に、悪ふざけで片をつけるのさ。(221ページ)

 『スプライトシュピーゲル』の姉妹篇。機械化された義肢を使い憲兵の尖兵として働く少女・涼月たちの戦いを描いた近未来アクション小説の第四巻。空港で離陸直前の航空機がジャックされる事件が起こり、さしたる困難なくそれを制圧するが、空港ではさらに次々事件が起こる。

 今回は『スプライトシュピーゲル』と同時発売ではなかったもののあまり間を空けずに発刊されたので、(『スプライト』の内容を忘れる前に)続けて読めて良かった。発売日の関係からして、今後も同時刊行しないときは『スプライト』を先にして欲しいところ。
 この巻では『スプライト』とは同じ時間に別の場所で事件が起こるのだが、『スプライト』中で描かれる事件とこちらで描かれる事件とは密接に関わっている、という仕掛け。『スプライト』にも劣らぬ過酷な展開もさることながら、二シリーズ合わせての構成の巧みさでも読ませてくれる。