書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

ジーン・ウルフ『拷問者の影』

拷問者の影(新装版 新しい太陽の書1) (ハヤカワ文庫SF)

拷問者の影(新装版 新しい太陽の書1) (ハヤカワ文庫SF)

 はるかな未来世界、拷問者ギルドの徒弟セヴェリアンの冒険を描くSFファンタジー新しい太陽の書」の第一部。
 前に「未来の文学」シリーズで出たこの作家の『ケルベロス第五の首』にはついていけないところが多々あったので、この「新しい太陽の書」が前に復刊したときもスルーしていたのだけれど、未訳分まで含めて新装版が出るというので、一念発起して読んでみた。
 ……うん、大丈夫だ、思ったよりとっつきやすい。
 思わせぶりな書き方や、そこだけ読んだだけでは意味の分からない個所なども多く、重要な部分を読み落としているんじゃないかという不安はつきまとうものの、陰鬱にして絢爛たる世界観に浸っているだけでも充分楽しい。
 第二部『調停者の鉤爪』ももう間もなく発刊するので期待。この巻の最後のところ、第一部の終わりとしてはけっこう唐突な切れ方をしているので、第二部がどう展開するのか、その点でも楽しみだ。