紀繇『閲微草堂筆記 上』

- 作者: 紀〓,前野直彬
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2008/05/01
- メディア: 単行本
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『聊斎志異』は、短篇とはいえ、起承転結のきっちりした、いわゆる小説らしい体裁を備えた作品を多く収めるが、こちらの叙述はもっとずっと簡潔で、味付けらしい味付けもしてないものばかり。オチがつかないものも多く、分量も4ページをこえることはめったにない。
むしろあまりの簡潔さが特徴というか、現代人ならふつう書かないような代物であるので、読んだことのない人は試し読みしてみる価値はある。途中で飽きる可能性もあるが……。作者も気晴らしのつもりで書いているのだろうし、こちらも暇つぶしとして読めばいいと思う。
父親や叔父から聞いた話というのが多い。変な話ばかり子供に聞かせていると、その子供はこんな本を編むようなオカルト趣味人間になってしまうという教訓を、我々はこの本から得ることができる。また、同僚から聞いた話というのも多いが、清朝の役人は暇さえあればオカルト談義をしていたのだろうか。