アブー・ヌワース『アラブ飲酒詩選』
- 作者: アブーヌワース,塙治夫
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1988/01/18
- メディア: 文庫
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私の友は皆悪漢で
きらめく星のような仲間連れ。(32ページ)
8、9世紀のアラブの詩人アブー・ヌワースの詩集。飲酒の詩を中心に、恋愛詩、哀悼詩、中傷詩、禁欲の詩などを収める。
アラブなのに飲酒、というタイトルからしてあれだが、内容もほとんどが悪徳礼賛に満ちた代物。いかにも爛熟し退廃した文化のうちに育った詩人という感じ。でありつつどこか健康的な雰囲気が漂っているのは、率直で気取らない詩句と、詩人の磊落な気質のためだろうかな。
飲酒詩以外では、
あなたが私を罵ったとか、どうぞ罵ってくれ。
あなたの口に私の名がのっただけで十分さ。(107ページ)
恋愛詩はこんな感じのマゾっ気に満ちていてなかなか楽しい。
晩年に作られたという禁欲詩は、
こんなふうで、飲酒詩と言ってることが正反対になってしまっている。残念といえば残念、人間らしいといえば人間らしいか。