クリストファー・プリースト『逆転世界』
『双生児』も『限りなき夏』も出たときにスルーしてしまったのは、『奇術師』とこの『逆転世界』を積読してたから。――ようやく片方が読めた。
- 作者: クリストファープリースト,Christopher Priest,安田均
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1996/05/18
- メディア: 文庫
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しかし、ここでは<逆>こそルールなんだ。(289ページ)
成年に達して託児所を出たヘルワード・マンは、都市の未来測量ギルドへの加入を志望し、見習いとして各ギルドの仕事を体験してまわる。その中で、彼は世界の驚くべき秘密と、都市が移動しつづける必然性を知る。
――なるほど逆転世界。この世界設定はすごい発想だ。同じイギリスの、世代も同じ奇想SF作家イアン・ワトスンと並び称されるだけのことはある。まったく脱帽のアイディアだが感想を書くには困る作品だな。ネタバレになってしまう。
語り始めはゆったりしている。言い換えればちょっと退屈なところがなくもない(そんなところまでワトスン『川の書』と共通してるなあ)。本番は150ページほど読み進めて第二部に入ってから。ヘルワードが誰もいない荒原で女の子三人といちゃいちゃしてると思ったら、こんな展開が待っていようとは。
これほど面白い作家を積んだまま放置していたとは失策だった。『奇術師』も早いとこ読もう(『双生児』は文庫化まで待ってもいいかな……)。