ジャン・パトリック・マンシェット『愚者が出てくる、城寨が見える』
これ読むのに十日もかかるとか……読書スピードおかしい……。
愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える (光文社古典新訳文庫)
- 作者: ジャン=パトリックマンシェット,Jean‐Patrick Manchette,中条省平
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2009/01/08
- メディア: 文庫
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企業家にして慈善家アルトグは、精神病院からジュリーを引き取って甥のぺテールの世話を任せる。ジュリーとぺテールは外出のさい、殺し屋トンプソンと三人のギャングにより拉致されてしまう。
心理描写を排した淡々とした叙述が出来事の異様さを増すタイプの作品。謎、黒幕の意外性は皆無であるので、ただひたすらヒロインのジュリーのいかれっぷりと、行く先々で起こる暴力沙汰を楽しめば良いと思う。ジュリーのキレっぷりはたしかにすさまじいものがあり、殺し屋連中がまともな人間に見えてくるほど。
事物描写は意外と細密で、活劇場面は面白いが、その幕間のところは、眠いときに読むと読みながら寝てしまうことが多かった。あとはまあ、単にたがが外れている人間が大暴れするだけの小説なので、読後に残るものはなんにもなかった。殺伐、荒涼感などの語が解説に見えるが、私には、ただ空虚な作品にしか思えない。