書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

黄易『域外天魔』

域外天魔
黄易 著
華芸出版社 1998年8月

 秘密結社・抗暴連盟の責任者「高山鷹」からテロリスト集団・末日聖戦団のことを調べるよう依頼された凌渡宇は、敵の行方を追って日本へ降り立つ。このとき日本では、聖戦団による大富豪の娘・大野千恵子の誘拐事件が発生していた。

 期待していたのは武侠なのだけれど、蓋を開けてみれば現代アクション伝奇だった。分量も大きめの活字で150ページほどと少なく、舞台も最初と最後の場面以外はほぼ日本に限られ、話中で経過する日数も一週間程度、小粒にまとまった作品という感じ。さくさく読めるがなんとなく物足りない。金庸、古竜ほどの盛り上げはない。
 黄易の代表作は『尋秦記』『大唐双竜伝』だそうだが、どちらもかなり長いので手を出しにくい…いずれ機会があれば。