ウィリアム・シェイクスピア『じゃじゃ馬ならし』
レチフはなかなか集中して読めないのでいったん中止してこちらを読んだ。私には「眠いとき、集中できないときのための作家」が何人かいるのだが、シェイクスピアはその筆頭である。読みやすい、短い、未読作品が多い、良質な訳本がある、質が保証されている、とこれだけ揃っているから(総じて、筋立てのシンプルな古典戯曲は疲れているときの読書にはよい。逆に相性が悪いのは幻想文学。夢の世界に引きずり込まれる)。

- 作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1983/10/01
- メディア: 新書
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
まあ、あなたに心配していただかなくてもけっこうです、
このキャタリーナには結婚する気などありませんから。
万一結婚したら、ちゃんとお世話してあげますけどね、
あなたの頭を三脚椅子で櫛けずってあげますし、
あなたの顔を血でお化粧して阿呆面にしてあげます。(第一幕第一場、31ページ)
喜劇。富裕な紳士バプティスタには二人の娘がいる。温和な妹娘ビアンカは引く手数多だが、姉娘キャタリーナは勝気な性格で男が近寄らない。一方、ヴェローナの若紳士ペトルーチオは、持参金さえあれば娘の気質は問わぬという男。ビアンカの求婚者の一人ホーテンショーからキャタリーナの噂を聞いたペトルーチオは、早速キャタリーナに結婚を申し込むが……。
勝気な娘をいかに従順な妻に仕立てるかという、タイトルそのまんまな内容の鬼畜調教もの。フェミニストなら読んで怒らずにはおれないだろう。私はフェミニストではないので笑ったのだが、少なくとも女の子とのデートコースには、この作品の観劇は入れないほうがよかろうと思う。
初期の作品であるということだが、掛け合いのうまさはすでに堂に入っていて、さすがシェイクスピアと思わされる。特にキャタリーナの過激なセリフにはニヤリとさせられる。倫理的な問題を抜きにすれば充分楽しめる作品だろう。