書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

竹宮ゆゆこ『とらドラ2!』

とらドラ〈2!〉 (電撃文庫)

とらドラ〈2!〉 (電撃文庫)

「それが知りたいか? 残念ながらそれだけは、俺の口からも言えないんだ。あの二人の関係は、なにしろ本物の学園七不思議のひとつだからな。」(296ページ)

 学園ラブコメ。主人公の高須竜児と逢坂大河は、お互いの親友である北村祐作と櫛枝実乃梨に惚れていることから、奇妙な協力関係になる。そこへ、北村の幼馴染で、外面は天然だが本性は性悪な川嶋亜美が転校してくる。大河と亜美はさっそく火花を散らし始める……。
 大河に嫌がらせをするためだけに竜児を落とそうとしていた亜美だが、話が進んでいくにつれ竜児を見る目が少しずつ変わっていく。そのあたりの展開がうまい。まあ結局は、亜美が本性を隠したがるのを心配していた北村の思い通りになったわけだが。また櫛枝もギャグ担当として良い味を出している。なんというか、北村・櫛枝は大物すぎて、竜児・大河のコンビでは攻略できない気がする(そもそも、竜児と櫛枝、大河と北村をくっつけて終わるなんて結末には、間違いなくならないとは思うが。でも竜児と大河が普通にくっついて終わるのもなんだかね。まあ、そのへんは続刊に期待)。
 北村の後輩・富家幸太を主人公とした40ページくらいの外伝が附されているが、これも面白かった。
 ――いや、それにつけても、おそろしく速く読める本ではあることよ。