冲方丁『ばいばい、アース Ⅰ』

ばいばい、アース 1　理由の少女 (角川文庫 う 20-1)

　ヒロイックファンタジー。いかなる種族的特徴ももたない少女ラブラック＝ベルが、大剣「ＥＲＥＨＷＯＮ」を手に、自らのルーツを求めて冒険する。
　友人の皆既日食さんに薦められた本。寝る前にちょっとずつ読み進めていたら思ったより時間がかかってしまった。もう２巻が発売する直前じゃないか。
　読むのに多少時間がかかった理由は、説明のないオリジナル用語を多用していることだろう。こういう謎めいた用語が出てくるたび、これはどういうものだろうと首を捻らずにいられないため、さくさく読み進めるというわけにはいかないが、そのかわり読者を不思議な世界観にひきつけるのに成功していると思う。両『シュピーゲル』シリーズほどのノリのよさがない（盛り上がるところは本当に盛り上がるが）かわりに、イメージの美しさ（時にはグロテスクさ）で魅せることにかけては一級品。ありきたりの「剣と魔法」ものとは一線を画するものがある。