書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

杉井光『死図眼のイタカ』

死図眼のイタカ (一迅社文庫)

死図眼のイタカ (一迅社文庫)

「――だから、きっとなにかひどいことが起きる」(73ページ)

 現代伝奇サスペンス。地方都市を支配する朽葉峯家の婿として選ばれたマヒルは、まもなく行われる儀式を経て朽葉峯の四姉妹の誰かと結婚するはずだった。そんなおり、彼のそばに少女イタカが現れる。

 『火目の巫女』を読んでこの作家をお気に入り登録した私としては、待ってましたのダークな伝奇。なかなか容赦のない展開ではじめから終わりまでしっかり読ませてくれる。マヒル、イタカ、藤咲、朽葉峯の四姉妹やその母・早苗らのキャラもよくたっていて、特にヒロイン格のイタカと藤咲は魅力的に描かれているし、朽葉峯早苗の存在感も圧巻。
 話としては綺麗にまとまっているものの、説明不足な用語なども多い。続刊はあるのか、あるならどういう形で続くのか……まあ、続刊出たら買うし、別シリーズを始めるならそちらも買うつもり。