書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

読み初め

 元旦に心を入れ替えるとか言っておきながら、口だけだった。すまない。
 しかしなんだか本当に本、というか文学書が読めない。どうもスランプ。というわけで、年明けて一週間もほったらかして、最初の本は文学以外の本だよ。

毒虫の飼育・繁殖マニュアル

毒虫の飼育・繁殖マニュアル

 タイトルどおりの本。主に扱っているのはタランチュラ、サソリ、ムカデ、ヤスデで、あとはクモ型綱の虫をいくつか紹介・解説している。
 軽快な文章で各種の飼育法・魅力・危険性などをわかりやすく解説。マニュアル本としても過不足ないし、この手の虫が好きであれば飼う気はなくても目を通すだけで楽しいと思う。一般にはあまり知られていないウデムシやサソリモドキについての解説もある。まあしかし、やっぱり実際に飼ってみないと、本当の虫の魅力はわからんのだろうなあ。
 私は皮膚があんまり頑強なほうではないので、毛を飛ばしてくるタランチュラはやめといたほうが無難だろう。大ムカデは素早いし凶暴だから扱いきれる自信はなし。ヤスデは小学生のころその辺にいるやつを捕まえて飼った、というか飼おうとしたことがあるけれど、瞬く間に全滅させてしまった苦い経験がある(当時は彼らに湿気が必要だということがわかってなかった。あんなデリケートな生き物だったとは)。すると選択肢はサソリ、サソリモドキ、ウデムシといったあたりか。まあ社会復帰してお金が出来たら検討するとするか。
Pets!Pets!〜魅惑の生き物の部屋〜
 著者のウェブサイト。工事中の箇所が多いけれどタランチュラとムカデについてはかなり詳しい。虫以外の動物も扱っている。おかげでアクサーコフの『釣魚雑筆』を読んでから気になっていた魚「河明太」の正体も分かったし。


 以下、本書とはあまり関係ない雑談。
 最近、写真系のブログやペットショップのサイトを巡回して奇虫やヘビの画像を集める、という変な悪癖が新たに身についてしまった(本が読めないのはこの癖と東方projectのせいである)。もっとも、おかげでウデムシなんていうステキな虫の知識を得ることができたわけだが(ウデムシを知らない人はぜひGoogleの画像検索をかけてみてください。あんないかした虫を知らないのは人生の損失です)*1
 しかしそういう虫のことを検索していたりすると、虫嫌いな人というのが想像以上に多いので驚くよ。スズメバチやムカデならともかく、それこそウデムシとかヤスデみたいな、危険性のない虫を怖がる感覚が私には理解できん。確かに異形ではあるけれども、異形というのはつまり魅力じゃないの。未知のものに対する好奇心を失ったらそこで人間失格だよ。
 要するに、ヤスデかわいいよヤスデ、ということです。せわしない脚の動きに反してスローな歩き方とか、間が抜けてて楽しいです。春になったらぜひ、石をひっくり返して探して、手にのっけて観察してみてください。存外、癒し系ですよ、あれは。少なくとも、害もないモノに殺虫剤をぶっかけるのは、かわいそうだからやめてあげて。

*1:ところで、欧米のバラエティー番組で、ウデムシを生きたまま食べたら五万ドル、と賞金を出したことがあって、実際に若い女性が食べたというのがあったらしく、YouTubeにも動画が上がっているけれども、そんなんで五万ドルも貰えるなんてまったくちょろい儲け話だなあと思う。向こうは虫食の文化がないからかもしれんけど、日本人のコメントもみんな気味悪がってる。どいつもこいつも度胸ねーな。中国やアジアでサソリの踊り食いするのと似たようなもんだと思えば、そう気色悪いほどでもないでしょ。私なら五十ドルでも突撃するね(それからペットショップへ行ってその50ドルでウデムシを飼う……なにか間違ってる?)。