ペーター・トゥリーニ『ねずみ狩り』
ドイツ現代劇・12冊目。
- 作者: ペータートゥリーニ,Peter Turrini,寺尾格
- 出版社/メーカー: 論創社
- 発売日: 2005/12
- メディア: 単行本
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「(別の写真を見せる)これは? おばあちゃんだな、え?」
「バカ! アタシの犬よ、プーキーっていうの、破らないで!」
「オレはオメエが知りたいんだ、オメエの犬じゃねえ。(写真を破く)ああ、また動物の写真だ」
「バカ言わないで、これは前の彼氏よ」
「そうだったのか、間違えたのは、裏に書いてあったからだ……ネズミちゃんへ、熊さんよりって……」
「ゴミ山行き!」(34ページ)
街のゴミ集積所に、一組の男女が車でやってくる。二人はピストルでネズミを撃ち殺したり、身に付けているものを全て引き裂いて捨てるなどの乱痴気騒ぎをし、その果てには――。
30分で読み終わってしまった。分量が少ないからというのはもちろんだが、筋がかなり単純で、話が転換する個所が少ないせいでもあると思う。会話表現はうまい。いわゆる下品な言葉や猥褻な表現が多く、風刺というより挑発的な内容で、結末もかなり強烈な罵倒だ(このあたりは風刺なんてレベルではない)。初演のとき(1971年)に大ブーイングをくらったというのもまあ、さもありなんといった感じである。ただ、
オメエ、自分は歩く生ゴミ入れじゃないとでも思ってんのか?(24ページ)
発表時点ではともかく、今ではこういう言葉は、かくべつ斬新なものでもなくなっているんじゃなかろうか。