書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

たらいまわし本のTB企画第39回 夢見る機械たち

sl-st2007-11-14


たらいまわし本のTB企画第39回 夢見る機械たち ――奇妙な世界の片隅で
 これが二回目の参加になる、たらいまわし本のTB企画、略してたら本。今回の主催者は「奇妙な世界の片隅で」のkazuouさん。

 昔から人間は「道具」や「機械」を使って、生身の体では不可能なことを可能にしてきました。日常生活しかり、移動手段しかり。そして物語の中においては、それらは夢や空想を実現する手段としても使われてきたのです。
 今回は『夢見る機械たち』と題して、そんな不思議な「道具」や「機械」を扱った作品を集めてみたいと思います。主要なテーマになっているものでも、印象に残った小道具でもかまいません。

 ふんふん、人間や動物ではなく、あえて機械っすか。と、ラインナップを考え始めてハタと固まる。……。いかん、思いつかんぞ。小説中の機械に対して、小道具だと思ってつい軽く見過ごして、ろくに注意を払ってこなかったせいだ。
 えい、せっかく参加するのだ。無理矢理にでも搾り出せ。

獣人 ゾラセレクション(6)

獣人 ゾラセレクション(6)

 ゾラ『獣人』
 最初に思いついたのはこの人。無生物を生き生きと描くことにかけてはこの人を超える人はなかなかいないよ。『パリの胃袋』の食品市場とか、『ジェルミナール』の鉱山とか、『壊滅』の大砲とか……でもまあ、機械といえば、鉄道・列車を扱ったこの作品を挙げておくのが妥当かな。
九十三年 上 (潮文学ライブラリー)

九十三年 上 (潮文学ライブラリー)

 ユゴー『九十三年』
 大砲といえばこれ。冒頭近くに出てくる、船の上を暴れまわる大砲とその管理係の戦いの描写が大迫力。主人公の一人・ラントナックの性格を表現するための短いエピソードに過ぎないんだけど、とかく印象的な場面ではあるな。
九百人のお祖母さん (ハヤカワ文庫SF)

九百人のお祖母さん (ハヤカワ文庫SF)

 ラファティ『九百人のお祖母さん』(「われらかくシャルルマーニュを悩ませり」など)
 「最高のSF作家」ラファティの作品のうちでも人気の高いのが「不純粋科学研究所」シリーズ。そしてシリーズを代表するキャラクターが超絶的な思考機械エピクト。というわけで、私としてはSFで一番お気に入りの機械というと、やはりエピクトかな。とんでもないプレミアがついていることで一部で有名な『イースターワインに到着』はこのエピクトが主人公。
砂漠の惑星 (ハヤカワ文庫 SF1566)

砂漠の惑星 (ハヤカワ文庫 SF1566)

 レム『砂漠の惑星』
 SF小説をもう一冊。こっちは無人の惑星で独自の進化を遂げた機械が人間と対決する。スぺオペ的でない派手さが楽しい。それにしてもレムという人は「未知のもの」を使って読者の恐怖を煽るのがうまいのな。
ハザール事典―夢の狩人たちの物語 男性版

ハザール事典―夢の狩人たちの物語 男性版

 パヴィチ『ハザール事典』
 エピクト以外は殺伐としたアイテムばかりになってしまったので、印象的な小道具でもいい、ということだから、これでも挙げて口直ししておこう。面白いアイテムはいろいろ出てくるけど、たとえばウード、という楽器。たとえばこんなシーン。主人公の一人が隣室から聞こえてくるウードの音に耳を澄ませる。オヤおかしいぞ、これは十本の指で弾いているとは思えぬ。ハハァ、隣で弾いてるのは悪魔だな。尻尾を使い十一本の指で弾いているのだ。――こういうのが私はなんだかすごく好きなのである。
指令 (ドイツ現代戯曲選30)

指令 (ドイツ現代戯曲選30)

 ミュラー『指令』
 最近読んだ中ではこれか。これもいろいろと面白い小道具が出てくる作品なんだけど、たとえばエレベータ。エレベータを下りるとそこはペルーの平原のど真ん中だった、という素敵なシーンがある。