書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

雑誌「考える人」の特集「長編小説ベスト100」雑感

 この手のリストはいつも気になるんである。というわけで立ち読みしてきた。

考える人 2008年 05月号 [雑誌]

考える人 2008年 05月号 [雑誌]

 ブルガーコフ巨匠とマルガリータ』が27位につけているのはちょっと驚きだった。だいぶ知名度を上げてきているなー。この調子で再評価が進み、彼の作品がほとんど文庫で読める、ような時代がきてくれれば。
 別の意味で予想外だったのは、『特性のない男』がまったくあがってないこと。これが文庫で読めるのは当分先だろうか。
 50位くらいにバルザックがあがってたけど、『人間喜劇』て何やねん、作品名じゃなくてシリーズ名もありなのか。そのすぐ下に『ゴリオ爺さん』があるのにも笑った。統一性ないなー。
 このあいだ作った「2年生のための海外古典文学リスト」との重複は『巨匠とマルガリータ』と99位の『オブローモフ』の二冊だったはず(もちろん、「2年生のための」は、こういうリストに挙がりやすい作品を意図的に外してるから、重複が少ないのは当然なんだが)。


 まあぶっちゃけブルガーコフムージルを除けば意外性は少なめで面白くないリストだったけど、付録として紹介されてた海外で選ばれた「長編小説ベスト」はどれもこれも変てこだった。特にフランスのリストは異常。1位が『異邦人』だったり、『怒りの葡萄』が7位につけてたり。バルザックスタンダールユゴーを差し置いてスタインベックがベスト10に座るとは……おまえらフランスの古典小説読めよ、と言いたくなる。