書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

白先勇『台北人』

台北人 (新しい台湾の文学―現代台灣文學系列)

台北人 (新しい台湾の文学―現代台灣文學系列)

 国共内戦のために台湾に移り住んだ人々の、過去の栄光への思いを抱きながら無為に朽ちていく姿をさまざまに描いた小説14篇からなる短篇集。

 書きっぷりはどちらかといえば淡々としていて、人物が派手に破滅するような作品も(「血のように赤いつつじの花」や「花橋栄記」などを除いて)少なく、全体的にかなり地味な雰囲気の本になっている。エキセントリックな人物・感情の表現もなく、大人の文学といったおもむき。私は大人ではないので、これを充分に面白く読むにはちょっと時期が早かったかなという気はする。
 いきなりぐらっと感情を揺すられるような場面・せりふに出会うことはあまりないものの、じんわりと切なくなってくる。