書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

中国文学

金庸『越女剣』

越女剣 (徳間文庫)作者: 金庸,岡崎由美,林久之,伊藤未央出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2011/04/01メディア: 文庫 クリック: 8回この商品を含むブログ (8件) を見る 中編の武侠小説集。 「白馬は西風にいななく」はカザフで育った少女李文秀の話。李文秀…

莫言『牛 築路』

牛 築路 (岩波現代文庫)作者: 莫言,菱沼彬晁出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/02/17メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 28回この商品を含むブログ (14件) を見る 「この若者は志が低いな。俺は今年六十八、お前の父親より一つ年上なんだぞ。先に寝て、…

曹雪芹『紅楼夢』

紅楼夢 1 (岩波文庫 赤 18-1)作者: 曹雪芹,松枝茂夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1972/05/16メディア: 文庫 クリック: 19回この商品を含むブログ (1件) を見る紅楼夢 2 改訳 (岩波文庫 赤 18-2)作者: 曹雪芹,松枝茂夫出版社/メーカー: 岩波書店発売日: …

藍霄『錯誤配置』

錯誤配置 アジア本格リーグ1作者: 藍シャウ出版社/メーカー: 講談社発売日: 2009/09/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (19件) を見る そこで藍霄先生、あなたですよ。おめでとうございます。その役を演じるにもっともふさわし…

崔象川『白圭志』

江西の張博は巨万の富を持ちながら、仁義に厚く財を軽んじることで名声高かった。ある日、張博の財に目がくらんだ親戚の張宏は、密かに張博を毒殺し、張博の遺児の面倒を見るとて張博の財産を管理するようになる。時がたって、張博の遺児張庭端とその妹張蘭…

『唐詩選』と明詩史の話

日本語学科の学生に日本語で中国文学の話をしてくれと頼まれたので、した。私の大好きな日本でも中国でもどマイナーな小説の話をしようかと思ったんだが、むしろ日中で有名度に差がある本の話とかのほうがいいかと考え直して、ぜんぜん専門外だけどタイトル…

作者不詳『争春園』

時は前漢。開封の義士・郝鸞は、仙人の司馬傲から三口の宝剣を譲られ、さらに二人の好漢を探して剣を渡し、事業を成し遂げよと告げられる。ある日彼は、争春園で亡父の友人・風竹と、その娘・風棲霞の婚約者である孫佩の二人と知り合う。権官・米中立の公子…

古龍『三少爺的剣』

燕十三は淡々と言った。「俺を殺そうというやつはあんたひとりだけじゃない」 高通は言った。「あんたは有名すぎるからな、あんたを殺しさえすれば、すぐに名を成すことができる」彼は冷笑して続けた。「江湖のうちに名を成すのは簡単なことじゃないが、この…

張小山『平金川』

「私はヨーロッパのローマ教皇だ。ロシア、イギリス、フランス、ポーランドなどの国はみな私の号令を聞く。天命の帰するところを知るがゆえに、清朝に一臂の力を貸しに来たのだ」(413ページ) 時は清代の雍正年間。青海の王・羅卜蔵丹津の叛乱を鎮圧する…

蘇童『我的帝王生涯』

殺せ。私は弓矢を立て、目と口を見開いている燕郎に言った、楊松は勝手に守備の職を離れただけでも死罪に値する、今、やつはさらに敗軍の将となった、殺さないわけにはいかぬ。 陛下、見事な射芸です。燕郎は軽い声で付和した。燕郎の小さな顔には驚きと媚び…

作者不詳『天豹図伝』

賽金は彼らが李栄春を探し出せないでいるのを見て、言った。「秦氏、李栄春はいたかしら?」秦氏の胸倉をつかんで、「どう説明するつもりなの?」 秦氏は言った。「賽金、無礼はよしなさい」 頭突きをしようとしたが、賽金はそれを手ではっしと受け止め、秦…

古龍『碧血洗銀槍』

この女はまた大碗に酒を注いで彼に渡した。「お腹いっぱいになったら、酒を飲むべきね。さっさと飲みなさいよ」 今度は馬如龍は首を振った。「飲まぬ」 「あんた、鼻をつまみあげて注ぎ込んで欲しいの?」 馬如龍は取り合わなかった。彼は、女性が人前で彼の…

格非『人面桃花』

でもな、なぜか分からないが、ここ数日、俺たちがやろうとしていたことは、根本的に間違っているかもしれない、あるいは、それに対して俺が言うことはまるで重要じゃない、それどころかまったく価値がない、そう、まったく価値がないと感じるようになった。…

金庸『侠客行』

侠客行 口袋本金庸作品集26,27 金庸 著 広州出版社 花城出版社 2006年4月 父親が誰だかわからない主人公「狗雑種」は、失踪した母を探して町に出たところ、宝物「玄鉄令」をめぐる争いを目にする。ひょんなことから玄鉄令を手に入れた狗雑種は、その本来の主…

古竜『蕭十一郎』

蕭十一郎 古竜 著 珠海出版社 2009年1月 風四娘は侠盗・蕭十一郎と手を組んで名刀・割鹿刀を盗もうと試みるが、偽物をつかまされる。二人は割鹿刀が沈家荘に送られると知り、風四娘の知人・楊開泰に頼んで沈家荘に招いてもらうが、何らかの事故があったらし…

雲封山人『鉄花仙史』

鉄花仙史 明末清初小説選刊 雲封山人 著 沈錫麟 校点 春風文芸出版社 1985年9月 名士・蔡其志は一人娘の蔡若蘭を親友王悦の子・王儒珍と婚約させるが、王悦の死後貧窮した儒珍を見て、婚約を後悔する。それを見た夏元虚という者が仲人を立てて若蘭に結婚を申…

余華『在細雨中呼喊』

史鉄生はどうしたかって? まあまあ、ゆっくり行こうじゃない。 在細雨中呼喊 余華 著 上海文芸出版社 2004年1月 あれが、私の父が最も威風凛々としていた時点だった。彼は警察に大声で言った。 「あんたらが探しているのは誰かね?」彼は胸を張って言った。…

衛斯理『真菌の毀滅』

真菌之毀滅 衛斯理 著 上海書店出版社 2008年9月 香港の作家・ゲイ匡が主人公の名前を筆名として発表したSFシリーズもので、『妖火』の続編。秘密組織に拉致され海底の基地に連れてこられた衛斯理は、そこに捕らわれていた張小竜とついに会う。組織の首領…

温瑞安『剣気長江・両広豪傑』

剣気長江・両広豪傑 温瑞安 著 花城文芸出版社 2001年12月 巨岩の上に、風雨の中、釣り糸を垂らしている老人が確かにいた。 この老人は確かに、昼間流されていく舟を片手で止めた鉄衣の老人でいった。 老人は眉も髭も白く、黒の衣は鉄のよう。長江に臨む、川…

黄易『域外天魔』

域外天魔 黄易 著 華芸出版社 1998年8月 秘密結社・抗暴連盟の責任者「高山鷹」からテロリスト集団・末日聖戦団のことを調べるよう依頼された凌渡宇は、敵の行方を追って日本へ降り立つ。このとき日本では、聖戦団による大富豪の娘・大野千恵子の誘拐事件が…

衛斯理『妖火』

妖火 衛斯理 著 上海書店出版社 2008年9月 語り手の衛斯理は、大晦日にたまたま出会った金持ちの老人・張海竜から、失踪した生物学者の息子・張小竜の行方を探して欲しいと依頼される。張小竜の行方と彼の研究の謎を追ううち、同じく張小竜を探す者たちが次…

黄耐庵『嶺南逸史』

中国に来ているわけだが。 でも、やる事は一緒だぜ?(『東方花映塚』) というわけで。 嶺南逸史 黄耐庵 著 中英 中雄 校点 百花文芸出版社、1995年 明代の広東を舞台にした作品。才子黄逢玉と、張貴児・李小環・梅映雪・謝金蓮の四人の美少女の離合と苦難…

金庸『鹿鼎記』全八巻

鹿鼎記 1 少年康熙帝作者: 金庸,岡崎由美,小島瑞紀出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2003/08/26メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (3件) を見る 「刀で殺すのも石灰で殺すのも、殺しは殺しじゃねえか。上品も下品もあるかい。くそがきの…

金庸『飛狐外伝』

飛狐外伝〈1〉風雨追跡行 (徳間文庫)作者: 金庸,岡崎由美,阿部敦子出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2008/08/01メディア: 文庫 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見る飛狐外伝〈2〉愛憎の父娘 (徳間文庫)作者: 金庸,岡崎由美,阿部敦子出版社/メー…

董若雨『鏡の国の孫悟空』

鏡の国の孫悟空―西遊補 (東洋文庫)作者: 董若雨,荒井健,大平桂一出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2002/03/01メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (2件) を見る 天は疥癬が出て、人に背中を掻かせようってのかしら。(43ページ) 原題『西…

余華『兄弟』全二巻

兄弟 上 《文革篇》作者: 余華,泉京鹿出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/06/25メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 34回この商品を含むブログ (15件) を見る兄弟 下 《開放経済篇》作者: 余華,泉京鹿出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/06/25メデ…

金庸『雪山飛狐』

雪山飛狐 (徳間文庫)作者: 金庸,岡崎由美,林久之出版社/メーカー: 徳間書店発売日: 2008/07/04メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (10件) を見る 貴様ら、喧嘩なら外でやれ。(331ページ) 天竜門の掌門・田帰農の不審な死に関わって、天…

孟郊「燭蛾」

燭蛾 ともしびの前に 舞う蛾がふたつ なぜそれほどに 生を厭うか 飛び来たった おまえの心をおもう 明かりをにくみ 滅びをにくまぬ もし天が百尺の高さなら きっと行って明月を覆うだろう 孟郊は中唐の詩人。この暗さが好きだ。あと結句の発想の奇抜さは特筆…

紀繇『閲微草堂筆記』

中国怪異譚 閲微草堂筆記〈上〉 (平凡社ライブラリー)作者: 紀〓,前野直彬出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2008/05/01メディア: 単行本 クリック: 16回この商品を含むブログ (5件) を見る中国怪異譚閲微草堂筆記 下 (2) (平凡社ライブラリー き 9-2)作者: 紀…

白先勇『台北人』

台北人 (新しい台湾の文学―現代台灣文學系列)作者: 白先勇,山口守出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2008/05/01メディア: 単行本 クリック: 9回この商品を含むブログ (4件) を見る 国共内戦のために台湾に移り住んだ人々の、過去の栄光への思いを抱きなが…