ジョン・フォン・デュッフェル『バルコニーの情景』
ドイツ現代劇。28冊目。
- 作者: ジョン・フォンデュッフェル,John von D¨uffel,平田栄一朗
- 出版社/メーカー: 論創社
- 発売日: 2006/09
- メディア: 単行本
- クリック: 9回
- この商品を含むブログ (2件) を見る
寝る前にこれくらい眠くなれたらいいのに。(17ページ)
舞台はパーティ会場となっている建物のバルコニー。パーティからいったん退出してきた人々が、作法などおかまいなしにひたすら会話する。
同性愛カップルの痴話喧嘩をやっていると思えば、その二人の片方がジャーナリスト、片方が政治家に変身してインタビューの場面となり、二人の脇ではさっきまでいちゃついていた男女が猛烈な殴り合いを演じる。袖の中から亡き妻の声が聞こえるという男がいれば、その声に耳を傾けようとする女が出てくる。戯曲全編、150ページにわたって、どこかかみ合わないダイアローグが続く。シュールといえばシュール、深刻といえば深刻、しかしなにやら滑稽でもあって。
にやにや笑って読むことができて、しかもなかなか刺激的な脚本。これは傑作といっていいのではないかな。