アイナー・シュレーフ『ニーチェ三部作』
ドイツ現代劇。29冊目。叢書の完読まであと一冊(まあ、読めたとはいえない本も多いけど……今日のやつとか)。
- 作者: アイナーシュレーフ,Einar Schleef,平田栄一朗
- 出版社/メーカー: 論創社
- 発売日: 2006/04/01
- メディア: 単行本
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不遇な哲学者の寡の妹になりたいなんて、だれが望むの。すべてを混乱に陥れた挙句に自分の足元まですくわれてしまう哲学者の妹に。(26ページ)
狂気に陥った晩年のニーチェと、彼を助けて生活するその母と妹の様子を描いた戯曲作品。
「ドイツ現代戯曲選」のうち、この作品を読むのをあとまわしにしていたのは、私がニーチェの著作を読んだこともなくしたがって愛着もないからだった。実際読んでみてもやはり楽しめたとも理解できたともいいにくい。
狂気の哲学者が述べる壮大なヴィジョン(単なる狂人のたわごとにも見えるが)と、母や妹のひどく俗っぽい会話との対比が面白いところなのだろうか? 彼女らの独白には近親相姦や夫殺しをにおわす供述もあり、相当にスキャンダラスでショッキングな作品ではあると思うが、それが面白いかというと、どうにも……。
今の私には、ちょっと、歯が立たない作品だったようだ。