ウィリアム・シェイクスピア『間違いの喜劇』
戯曲祭り四日目。
で、まずはシェイクスピア『間違いの喜劇』なんだけど、『から騒ぎ』『お気に召すまま』『十二夜』に比べると見劣りするな。シェイクスピアを全部読もうという人以外にはおすすめできないかと。

- 作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1983/10/01
- メディア: 新書
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こいつめ、気がふれたな。おれもそうらしいが。(83ページ)
生まれて間もなく別れ別れになったアンティフォラス兄弟とその従僕ドローミオ兄弟。顔も名前も同じ二組の双子がたまたま同じ街に居合わせることになったため、数々の混乱が巻き起こるが、最後には全て解決して兄弟再会の大団円となる。
シェイクスピアの初期作品で、もっとも短い作品であるそうだ。内容も明快でさくさく読み進められる。喜劇ではなく笑劇と見なされることも多いようで、なるほどこの作品では登場人物の性格のために事件が起こるのではなく、瓜二つの風貌すなわち外見によって混乱が起こる。
性格喜劇ではないためか、登場人物の個性描写は薄めで、色物キャラクターを見るためにシェイクスピアを読むような向きにはあまりおすすめしない。会話にしても、ドローミオ弟の道化的なセリフまわしが目立つくらいである。この点でも、『お気に召すまま』や『から騒ぎ』などの傑作喜劇に比べると見劣りする。