書物を積む者はやがて人生を積むだろう

和書を積んだり漢籍を積んだり和ゲーを積んだり洋ゲーを積んだり、蛇や魚を撫でたりする。

谷川流『電撃!! イージス5』全2巻

電撃!!イージス5 (電撃文庫)

電撃!!イージス5 (電撃文庫)

電撃!!イージス5〈Act.2〉 (電撃文庫)

電撃!!イージス5〈Act.2〉 (電撃文庫)

 有能ながら変人の科学者を祖父にもつ主人公の秀明は、大学へ通う下宿先としてその祖父の家を訪れる。ところが祖父はおらず、代わりに三人(第二章からさらに二人登場)の少女と羊のぬいぐるみの形をした人口知性ガニメーデスがいた。ガニメーデス曰く、秀明の祖父は実験失敗により高次元世界に消えた、そして少女たちはその別次元からの侵略者から世界を守るべく戦っているという。

 一巻の作者あとがきによると、もともとはゲームシナリオのためのキャラクター設定を谷川流が作る、という企画だったらしく、そのためか雑誌連載という形式のためか、かなりコテコテのキャラクター小説に仕上がっている。『涼宮ハルヒ』『学校を出よう!』のSF成分や、『ボクのセカイを守るヒト』のような思わせぶりな表現はなく、深刻な状況や謎めいた展開に至ることもほとんどないので、いささか物足りない面もある。本当にライトなライトノベルとして、キャラ同士の掛け合いを楽しむ分には充分楽しめる小説。

 これで谷川流の既刊は全部読んでしまったので(雑誌掲載のみの作品まではさすがに追えてないが)、早いところ『涼宮ハルヒの驚愕』か『学校』の七巻か『ボクセカ』の三巻が出るように祈りたい(前も同じことを書いた気がするが……)。